先の日曜日、お隣ウンブリア州のボマルツォという小さな村(というより集落)にある「怪物公園(Parco dei Mostri)」を訪ねました。
まあいわゆるB級観光地なんだろうとタカをくくっているうちに到着。割と立派な事務所で入場券を買ったついでにちゃんと解説書を見てみました。この公園は、ローマ近郊にあるエステ荘(villa d'Este)を建設したルネッサンスを代表する建築家ピッロ・リゴーリオの手によるものと解り、500年の歴史があることに先ずはビックリ。
そしてこの公園を作らせた主は、16世紀初頭にこの辺り一帯を治めていた貴族、オルシーニ家のフランチェスコ王子だとか。なるほど公園から続くなだらかな丘の上には、古めかしいお城が公園を覗き込むように建っています。王子は、最愛の妻を亡くした悲しみと苦痛に喘ぐ自身を癒すため、少しでも楽しい気分になるものを城下の庭に作りたいとの一心で、この公園を発注したとのこと。随分と金のかかるロマンチストだこと。
木々が生い茂る森の中、高低差のある園内には、こうした巨大な怪物の石像が全部で30個ほど散りばめられています。ただし、いずれも怪物という響きとは少し趣が異なり、どこか愛らしくもあるキャラクターたち。なるほど楽しい気分にさせてくれます。
小春日和の下、子供たちがはしゃぎ回る歓声がそこここから聞こえ、園内の芝生にはお弁当を広げて寛ぐ家族連れの姿。王子の思いは、500年の歳月を経た今もなお、人々に癒しのひとときを与えてくれているのでした。
2 件のコメント:
日本の妖怪(水木しげる先生のゲゲゲの鬼太郎に登場るような……)も、本来は異世界の住人でありながら現実社会の影響を多かれ少なかれ受けながら生活している様子です。そこに描かれている妖怪達は、時にはおどろおどろしく、怖ろしいモノなのですが、鬼太郎に窘められると案外大人しかったり、いいやつであったり、時にはユーモラスであったりするのです。その一方、人間界には妖怪以上に、底意地悪く、悪辣な人物も数多く存在します。異なる世界の住人や出来事と互いの存在を一蹴してしまうので無く、理想論であるとわかっていますが何とか互いに歩み寄り、この公園の彫像のように互いに愛し愛される関係になれたらいいのに……等と甘いことを考えずにはいられません。
>迷走さん
あくまでイメージの中の話ですが、怪物や妖怪などは、いずれも芯の部分では純粋さを持っているような気がしていて、迷走さんの言われることに共感します。
それに比べ、人間界で日々流れるニュースなどを見るにつけ、人間という生き物の愚かさや傲慢さにはため息が出ますね。
500年前の王子の思いが、現代の人々が抱えるそんな負の部分をなおも癒し続けていることに、何か言いようのない「力」を感じるのですが、さりとてこの石像を作ったのもまた人間であるわけです。それこそが芸術の持つ「力」であるのか、はたまた異世界の力を借りたものであるのか。。。
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