2019年6月26日水曜日

今、欲しい乗り物

 「今、欲しい四輪と二輪をそれぞれ1台ずつ挙げなさい」
 こんなお題を、しばしば自らに問いかけてみては、お金も駐車場もないというのに、あれこれと妄想を巡らせるのがホントに楽しい。
 五十も半ばを過ぎたこの歳で購入しようというのだから、この先、乗り換えることは想定しません。乗り潰すというより、これからの生涯を共にするという発想。
 となれば、デザインは流行り廃りに左右されにくいものを選ぶだろうし、性能的には速さよりも耐久性、安全性、日常的な機能といったものを最優先するだろう。なにより、想像可能な老後のライフスタイルと、ますます衰え行く身体能力にマッチするものでなければならない。
 あれこれ考えるまでもなく、割と簡単に、現時点でいちばん欲しい車とバイクを挙げることができてしまいました。
 まずは四輪。ボルボV60ステーションワゴン。
 もとより角ばった車、特にセダンが好きなのです。でも、筋力の衰えた身体で、ゴルフのキャディバッグやスーツケースを持ち上げて後部のトランクに入れ込むのは相当に難儀するに違いないので、荷物が積み易くて、どうせなら積載量の大きなステーションワゴンを選択。
 永く乗っても飽きのこないデザイン、そしてボルボ持ち前の耐久性、安全性、寒冷地への適応力。総合的にかなりの高得点だろうと考えました。むしろ、永く乗ってこそ真価を発揮する車でしょう。ま、お値段は500万円くらいしてしまうのですけど、あくまで妄想なので。
  次に二輪。これは1台に絞れと言うのは無理なお話なのですが、そこをなんとかもう一度絞って最後に残ったのがこれ。そう、スーパーカブ。
 老後に想定されるバイクの用途は、近所のコンビニなどへのちょっとしたお使いと、たまの遠出(ツーリング)。もうこの歳から大きなバイクを振り回すこともできないし、スピードを求めることも全くありません。むしろ、下道でトコトコテクテクと田舎の景色を眺めながら、梅や桜を愛でるツーリングがしたい。もちろん、耐久性と燃費を考えればこれ以上に優れたバイクは世の中にない訳です。
因みに、選考過程で次点になったのは、四輪ではジムニーとマツダ・ロードスター。どちらもホントに欲しいなぁと憧れはするんですけど、どちらも奥様の賛同を得られそうにないというのが落選の理由。
 二輪ではSR400、エストレヤ、ハンターカブあたり。決め手は、一生に一度で良いから、60年間に1億台が売れたカブのオーナーに自分もなってみたいという純粋な動機と、年をとった今だからこそ、カブを心から楽しむことができそうな気がするから。
 さて、夢が実現するようなことはあるのでしょうか。

2019年6月19日水曜日

モンキー・ダビッドソン(こういうのは大好きなんだが)

 私たちおじさん世代が少年の頃からアフターパーツ・メーカーとして様々なカスタム部品を世に送り出してきたキジマから、今年9月にこんなのが発売されるらしい。
 そう。125ccに成長したモンキーにポン付けできるハーレー・ダビッドソンのレプリカ・キット。その名もモンキー・ダビッドソン。
  実はモンキー・ダビッドソンという発想が最初に製品として形になったのは、1980年頃のことです。キットを販売したのは、乗りもの館(や)という会社。この会社は、他にもモンキーをベースとするカフェレーサーや、サイドカーなども作っていました。どれもこれも、たぶん大真面目にデザインしたのでしょうけど、とにかくサイズがちっこいんもんで、実に可愛らしかった。プラモデルにもなっていたくらい、一部ではたいへんな人気だったので、まず入手は困難でした。 
その後、キジマから2011年に50cc版モンキー用の本格的なハーレー・キットが販売され、今回はその復刻版という位置づけ。
 で、今回発売される125cc用キットもおそらく50セットくらいの限定商品、しかもお値段は45万円くらいと、かなりのぶっとび具合ですね。本体新車価格が43万円くらい(ABS付)ですから、バイク込みで約90万円。軽四輪が買えてしまいそう。
 と、まあ、お値段の話はさて置いて、125cc用のキットをよく見れば、いろいろと細部にまでこだわっているのが分かります。惜しむらくは、フィッシュテールのマフラーは、50cc版では2本出しだったので、そこは貫いてほしかったかな。それと、125ccモンキーのタンクの形がハーレーっぽさを大きく損ねていること。50ccハーレー・ダビッドソンが誕生したのも、ひとえにタンクの形がいわゆるティアドロップで、ハーレー本家とイメージが強く重なるからというのもあったのではないか。そう睨んでます。下の画像(右が50cc版)で、どっちがより「それっぽい」か、比較してみて下さい。
いずれにせよ、ワタクシ、もともとモンキーをはじめとする、いわゆるミニモトが大好きってのもありますが、基本的にモンキー・ダビッドソンのような誰が見ても楽しい気持ちになれるデザイン、愉快なコンセプトを製品化するメーカーさんは、大いに応援したくなります。

2019年6月17日月曜日

トッティとのお別れにローマニスタ達は何を思う

 プリンチペ(王子様)の愛称で知られるサッカー界のスーパースター、フランチェスコ・トッティが、ASローマを退団というニュースが流れました。なんでも彼に対するリスペクトの欠片もないアメリカ人会長から追い出されるような形で、契約途中にして自ら身を引くことにしたということですが、真相は分かりません。
 地元ローマで生まれ、13歳でユースチームに入団して以降、トッティはASローマひと筋、2016/17シーズンをもって引退するまでの約30年の選手キャリアのすべてをチームに捧げてきました。そしてその間、通算307ゴールという偉業を達成。引退後も引き続きチームに残り、テクニカル・ディレクターとしてASローマを支えてきたのです。
 ASローマのサポーターは、俗に「ローマニスタ」と呼ばれます。ローマニスタたちの地元チームに対する愛は、日本でいえば虎党の阪神タイガースに対するそれを、更に濃くしたような感じと言えば、解りやすいでしょうか。とにかく日々の暮らしの中に、ASローマがあって当たり前、カフェでもレストランでも挨拶代わりに前日の試合での選手の奮闘ぶりを讃え合うのです。決して批判はしません。観戦は年間チケットを購入し、せっせとスタジオ・オリンピコに通うのです。
 そして、地元生え抜きで、一度も他のチームに浮気しなかった正真正銘のローマっ子であるトッティは、まさにASローマの顔であり、憧れと尊敬の対象であり、神様に近い崇め方をする熱狂的ローマニスタも少なくありません。
 事実、ホームの試合直前に電光掲示板を使って華々しく行われる選手紹介では、監督よりも後、いちばん最後に満を持してトッティがピッチに登場するのです。地響きのような歓声を浴びながら。
トッティ退団のニュースを、ローマニスタたちはどんなふうに受け止めているのでしょう。いや、受け止めきれないに違いありません。プリンチペ、あなたはASローマそのものでした。マンマミーア、あなたのいないASローマを、どうやってサポートすれば良いと言うのか。。。彼らの悲しみを代弁することは出来ませんが、きっとそんな思いなのでしょう。
 かくいう私も、永遠の10番をつけたユニフォームをローマ在住当時に購入し、エジプトに移った今でも家の壁に吊るして大切にしています。
 どのポジションを任せても最高レベルで機能する抜群のサッカーセンス、絶妙なラストパスを配給する見事なボールタッチ、ゴールを切り裂く弾丸シュート。ずり下がったストッキングと、レンガ色のユニフォームに背中の10番が最高に似合う、今世紀を代表するサッカー選手のひとりであることを疑う余地はありません。
 ありがとうトッティ。グラッツェ・ミーレ、プリンチペ。

2019年6月15日土曜日

五嶋龍がエジプトにキター!

 バイオリニストの五嶋龍が、今日15日、カイロのオペラハウスで行われたカイロ・シンフォニー・オーケストラの定期公演にソリストとして出演しました。演目はベートーベンのバイオリン交響曲第61番Dメジャー。
五嶋龍をよくご存知ない方は、どうぞググってみてください。で、こんなすごい人の演奏を聴くことができるチケットのお値段は、なんと85エジプト・ポンド=ちょうど500円くらいなのです。あり得ない。
 約1時間半のコンサートの最後には、アンコールに応えてソロで聴かせてくれました。酸いも甘いも知り尽くしたシャンソン歌手のハスキーな声をも思わせる1744年製ストラディバリウス。いったいおいくら万円するのでしょう。
 アメリカ生まれでハーバード大卒というのも納得の流暢な英語で、さわやかに舞台挨拶もされていました。
 ああ、カイロにいたばっかりに、こんな良いものが500円で体験できて、すご~く得した気分です。たまには良いこともあるんだな。

2019年6月10日月曜日

ダイエットというストレス(ただし、成果あり)

 去年9月に日本で受けた人間ドックの結果、血糖値を低減させる必要性と、そのための最も簡単な方法が炭水化物ダイエットであると、医師から指導されました。一時帰国のため成田に着いた日から2週間ほど経った後のことです。即ち、帰国前までずっと我慢し続けていたラーメンだの丼物だのを、日本に帰るなり毎日イイ感じであれこれ食べてしまってからの人間ドックでしたから、そりゃエジプトで日々過ごしている状態よりも数値は上がってるでしょうと苦しい言い訳をしてみたものの、医師の前では無意味でした。
 しかし、そこからこれまで約7か月の間、人生初となる炭水化物抑制チャレンジに取り組みましたよ。
 日々の食生活は実に単調です。
 平日の朝は、オレンジジュースとヨーグルトのみ。昼は社員食堂で基本的に白米、おかず、サラダ、フルーツとバランス良く。で、夜は野菜のみ、或いは野菜&肉のスープ又は炒め物のみで、ご飯、パン、パスタは一切食べない。週末は朝昼兼用でパスタ系。夜は肉又は野菜のみ。食後のチョコレートもアイスクリームもやめた。7upは糖質ゼロに替えた。間食もまったくなし。
 体重計がないので何kg落とすことができているのか定かではありませんが、この7か月でベルトの穴2つ半、お腹が引っ込みました。お腹だけでなく、身体全体がひと回り小さくなったようで、服が軒並みブカブカです。サイズでいうと、LからMになった。身体が軽くなった分、階段を上っても息が切れなくなりました。
 ただし、そうした目に見えた成果と引き換えに、炭水化物の摂取制限がもたらす甚大な精神的ストレスを日々抱えていることも確かです。youtubeでは大食いの人達の動画をついつい見てしまいますし、晩飯時の食欲から気を逸らせるのが辛い。
 そして、来月には待望の一時帰国を控えています。10日弱の短い滞在ですが、日本に帰っても食の制限を維持できるか、まったく自信がありません。
池袋にある行きつけの台湾家庭料理店の、小龍包や肉を挟んだ包(パオ)が絶品なのです。紹興酒がぐんぐん進みます。そして、さんざ飲み食いした後の〆の博多ラーメン(もちろん替え玉あり)も、お決まりのコース。
 さて、どうしたもんでしょうか。

2019年6月3日月曜日

草木に寄せる思い

 今、カイロの街中そこらじゅうに、鳳凰樹が真っ赤な花を咲かせています。砂の薄茶色とコンクリートの灰色しかない景色に、天から赤の絵の具をまき散らしたような、それは見事なものです。
仕事で外出した車の中から鳳凰樹の並木を見つつの、エジプト人同僚との会話。
私 「いやあ、実にきれいだねぇ」
エ 「そうですね」
私 「この樹、アラビア語だと何ていう名前?」
エ 「え、知りません」
私 「そうなの? これだけ街中で毎年咲くのに?」
エ 「はい。すみません」
私 「いや、別にいいんだけど。。。でも、エジプト人の間で、『ああ、またこの赤い花が咲く季節になったんだねぇ』とかいう会話になるんじゃないの?」
エ 「なりませんね」
私 「そうなんだ。。。」

 日本人は、桜の花に特別な思いがありますよね。
 散り行く花びらには卒業や別れを重ね、あるいは満開に咲く花には入学、就職といった新しいステージの門出を重ねる。美しい花を愛でるという以上の意味や、思い入れを、誰に教わるともなく心に持っています。日本人特有の精神文化であり、誇って良いものなんだと、あらためて思います。
 そういや、もう何年も花見してないなぁ。

2019年6月1日土曜日

イード(大切な祭りなんだろう)

 多分あと2日でラマダンが明けます。多分と書いたのは、月の満ち欠けを見て長老が決めるから、直前までその日を確定することができないという、ずいぶんと牧歌的な習慣によっているからなのです。でも、エジプトでは3大ピラミッドが建てられた4000年前には、少なくとも設計者は既に天文学に精通していたと考えられるというのに、現代でもなお、科学的な計算ではなく目に見える月の満ち欠けを尊重するというのは、実に素朴というか、ある意味で合理的でない感じもします。
 さて、なぜ月の満ち欠けなのかと言うと、イスラームの暦がヒジュラ暦という、いわゆる太陰暦によっているからに他なりません。
 イスラームの世界では年に2回の大きなお祭りがあります。断食をするヒジュラ暦第9月のラマダン月に続く、シャッワール月の1日から3日までがイード・アルフィトル(断食明けの祭り)と呼ばれます。
 ムスリムたちがイードの祭りに何をするかというと、まあ断食が明けたっつうんで、要は仕事は休んで朝から好きなだけ飲み食いするわけです。ラマダンの約ひと月の間、夜中に何回も食事をするという偏った生活リズムの後に、今度は時間を問わずに思い切り食べるわけですから、余り健康的とは思えないんですけど、2千年近く続いている習慣というか、それが彼らのルールなので、変えようがない。
で、ムスリムでない私達には全然関係ないのですが、現地スタッフがみんな仕事を休んでしまうので、会社も当然休みになる。なので、連日40度近い(超える日も)中で、わざわざ無駄遣いしたくもないから、せっせとゴルフでもするかと。
 とは言え、我々日本人は、日本でも各地で様々な神様などに因んだお祭りを行いますが、大きなお祭りほど商業的になりすぎてしまって、個々のお祭りの起源や云われまでに関心を持とうとする人は、それほど多くないような気がします。そういった意味では、ムスリムにとってのイードや、キリスト教徒にとってのイースターやクリスマスは、純粋なものと言えるのかもしれません。
 因みに、イスラームのもう一つのお祭りは、ハッジと呼ばれるメッカ大巡礼(今年は8月)に合わせて行われるイード・アルアドハー(犠牲祭)がそれにあたります。犠牲祭については、またその時期にご紹介することにしましょう。