2014年7月30日水曜日

YAMAHA YZ250(その11)

画像上がイグニッション・コイルからプラグ・キャップ。下がCDIユニットからクランクケースまでのケーブル。黒い部分がゴムの一体形成部品なのです。親切設計といえばそうなのかもしれません。でも、ぐにゃぐにゃのくせにケーブルの形は崩れません。んなこたぁない訳です。

仕方がないので、作り直します。ぜんぜん親切じゃありませんでした。イグニッション・コイルの方は、プラ材でコイルを作り、プラグコードはアイ・キャッチーな青い被膜線を使いました。CDIユニットにつながるケーブルは、途中から黒の被膜線に変えました。
 それにしても、本物のバイクをレストアするようなチャンスがある場合、こうしたハーネス類が最も苦手な分野になるでしょう。なんたって、電気に疎い。それに、ハンダごてを使うのがとても下手くそで、全然くっつかないのです。だから、模型でもハンダ付けを必要とする金属部品は使わないことにしているっつう訳です。

ケーブルの話題ついでに、キャブレターです。
 ミクニ製のシンプルながら大口径のキャブが付いているのは良いのだけれど、ディーテイルは端折られています。チョークレバーも見当たりません。黒いフューエルパイプなんかは、キャブ自体にそこそこ大きな穴が空いていて、そこに差し込むだけという指示でした。穴を塞いで、代わりにパイプを受ける心棒を立ててあります。
 キャブ両側から出ている透明パイプは、もちろんインストにはないものです。何という名称なのか知りません。

キャブレターのディーテイル・アップに多用する内径0.6mmの透明パイプは、実はこれ。釣り道具なのでした。東京の友人があちこち探してくれた優れものです。商品名は「カラミ止パイプ」。特価118円也。パッケージの説明書きには、キス、アジ、カレイ、メバルなど枝スの多い仕掛けのカラミ防止。。。などと記されています。「枝ス」って、なんだ?

2014年7月28日月曜日

YAMAHA YZ250(その10)

エキスパンション・チャンバーの塗装にチャレンジ中です。
 輪切り素材の溶接痕は、様々な実車を見てもまちまちで、これだというのがありません。かといって、複雑な色目を表現するほどの技術もないのです。
 メタル塗装の上から、エナメルのガンメタでドライブラシをかけ、つなぎ目の部分を後から拭き取ってみました。遠目に見る分にはそれほど悪くないようにも見えますけど、アップには耐えません。要するに下手なのです。

エキパイ同士をスプリングで繋いでいる部分です。左の黒いバネが、キットに入っているタミヤお馴染みのもの。悪くないのですが、良くもない。なんだかイマイチなのです。
 そこで、スポーク張りに使った被膜線の芯線を爪楊枝の先で巻いて自作してみたのが右のもの。ヤットコの先端の太さと老眼のため、工作の精度は低く、よれています。が、なんでしょう、こちらの方が「らしい」ような気がするのです。

2014年7月26日土曜日

YAMAHA YZ250(その9)

外装の続きは、リア・フェンダーです。シート後端から先だけの、短いものです。でも、これではシート自体をスリム化した際に、長さが不足してしまいます。
 そこで、裏側に強度確保のためのプラ板を貼り付けておいてから、フェンダーの延長を試みます。先ずは厚紙で型紙を作り、これに沿って切り出した0.5mmプラ板を2枚重ねることにしましょう。

1mm厚プラ板1枚では、3次局面をいきなり出すのは至難の業ですから、0.5mmを1枚ずつ整形していくのですが、それでもテープやクリップの力を借りなければ上手くいきません。接着剤をたっぷりと塗って、プラ材を溶かしながらの工作ですから、乾燥待ちの間は、じっと我慢です。

重ね貼りできたところで、形状を整え、縁にはリブをつけて、キット部品との連続性を確保します。

フレームに載せ、シートレールにハメ込んでみました。
 タンクとフェンダーの間に、どんな形のシートが見えてくるかと、しばし瞑想して、イメージが育つのを待つことにします。

2014年7月24日木曜日

メタルのハート

 motoGPでレプソルHONDAチームをフルサポートしたことで、世にその知名度をぐんと上げたイタリアのエグゾースト・メーカー「MIVV(ミヴ)」の過去の広告画像が、あまりにカッコ良かったので、紹介します。
度胸のいい人、物事に動じない人を指して「強心臓」とか「心臓に毛が生えている」などと称することがありますけど、こちらの心臓は一本の毛も生えないのに、最強であること間違いなしです。CGなのか、それともMIVVのクラフツマンが本気で作ってしまったのか、画像からは判断できません。
 同社のサイトを覗いてみると、ステンレスまたはチタンのフルシステムからスリップオンのサイレンサーまで幅広くラインナップしているのが分かります。気分だけはダニ・ペドロサ選手になりきって、CBR125にMIVVのマフラーを装着して走ってみたい。

2014年7月23日水曜日

YAMAHA YZ250(その8)

この型のYZ、機械的な性能は抜群なのに、タンクやシートの外装デザインが何だかもう絶望的にカッコ悪いのです。1970年代のスタイルを、現代のモトクロッサーやモタードのそれと比べるのは無理があるものの、とは言え同じ時代に名車TZを作ったYAMAHAワークスとは思えないくらい「ダサい」のです。それともロードとモトクロッサーでは、開発チームもデザイナーも全く別だったのでしょうか。

これがキットのフューエルタンク。特に、タンク後方の、雪で作ったうさぎみたいな膨らみが中途半端さを醸し出しています。

なので、切っちゃいました。あ~あ、やってしまった(いつものことだけど)。

人が見てないうちに急いでプラ板で穴を塞ぎ、整えてみました。おっ、いいじゃないですか。まるで何事もなかったみたいに、自然に仕上がっています。
 この調子で、羊羹のような最悪のシートにも手を加えて、なんとか見栄えのするスタイルを目指すことにしましょう。ただし、現代のモデルを意識した、しゅっとシャープなデザインを模すのではなく、そこは時代考証を大きく裏切らない範疇で、モディファイを試みることにします。

2014年7月22日火曜日

夏の夜の不思議なプラモ話

 つい先日のこと。
 静かな週末の夕刻、工作机に向かって、いつものようにチマチマとプラモを作っておりました。フロントフォークの工作の途中で、さっきまで目の前にあった大きさ1cmほどのパーツが、工作マットの上に見当たりません。工具や塗料などをどけてみても机の上にはありません。こりゃまた床に落としたかと、椅子をどけてしばし探しますが、ありません。リング状のパーツだったので、思いのほか遠くまでころころと転がってしまったかと、机の周辺のカバンやらをどかし、はたまたベッドの下やらをくまなく探したものの、見つかりません。吸い殻の入ったゴミ箱の中を、手を汚しながら掻き分けてみても、ありません。
 はは~ん、これはあれだ、反対の手に持っているモノを探してみたり、頭の上に乗せたことを忘れて眼鏡を探してみたりする、あれだ。過去に学習した「灯台下暗し」的なポカを思い出した私は、捜索の間に二度三度と、机の上を確認することを怠りませんでした。が、ありません。
 どれくらい探したでしょう。15分か20分か。もういい加減いやになって、仕方がない、なくなったのなら作ればいいや。そう気持ちを切り替えて机に向かった私の目の前、工作マットの真ん中に、お目当てのパーツがちょこんと乗っかっていました。
 細君にこのことを話すと、「からかわれたのよ」と。誰に?
 日本だったら、座敷童の仕業だとすぐに連想したでしょう。でもここはイタリア。さすがにこんな遠くまでは来ないのではないか。言葉も違うし。さすれば悪戯な天使か、それとも小さいおじさんか。そういえば小さいおじさんは、妖精の類だと聞いたことがあります。西洋には、様々な呼び名の妖精がいることは、数ある書物が物語っています。
 からかわれた。その割には、腹が立つこともありません。むしろ、夏の夜にぴったりな、ちょっと不思議な体験を楽しむ私がいるのでした。

2014年7月21日月曜日

YAMAHA YZ250(その7)

連休ですね。
 いくら手早くやろうと思っても、こういう目につきやすい部分は見過ごすことができません。ワイヤーから先のモールドを切り落として、ディーテイルを整えましょう。

前輪を組み上げてみました。スポークもブレーキ・ワイヤーもシャープになって、良い感じです。タイヤは、真ん中のラインにゴムのバリがぐるりと付いていましたが、指先で簡単にちぎれました。オフロードのタイヤも、たまに目にすると新鮮で、カッコイイなと思います。

2014年7月17日木曜日

YAMAHA YZ250(その6)

後輪のスポーク張りに取り掛かりました。ホイール径は前輪よりも小さくなりますので、治具をリムに合わせて作り直してからの作業です。
 問題となるのは、ドリブン・スプロケット側のハブ。キット部品は、ハブの縁から直接スポークが生えているため、これを切り落とした後は、どこにも引っ掛ける又は差し込むべき箇所がないのです。

なければ作るしかありません。
 1.5mmプラ板からサークルカッターでドーナツを切り出し、ハブの外側にくっつけます。外側に向かって斜めに角度をつけるように削った後、スポーク穴を開けました。

塗装した後に、スポークをハメてみました。サクサクと、はかどります。この調子で反対側も張ってしまいましょう。

2014年7月13日日曜日

YAMAHA YZ250(その5)

  今日は、スポーク張りに着手しました。
 ということは、つまりキットのホイールとタイヤを使用することになるわけで、ずっと悩んでいたオンロード化、即ちモタード化には向かわないということです。多分。
 
  先ずは前輪から。こちら側のハブは、ちゃんとスポークをひっかける穴が開けられるので、作業はやり易いでしょう。

反対側のハブ。右側と左側では、スポークの長さも、パターンも異なるのですね。これでちゃんとバランスがとれるのか、ちょっと不思議です。

ハブの表面に、小さな凸がいくつも見えますが、これはスポークの頭を表現したものです。 凸の代わりに穴を開けて、先端が丸まってて直後に曲がってるスポークをハメればいいのね。ふむふむ。って、そんなことできるか~い。到底無理というものです。どうしましょう。

とりあえず、ハブの部分を切り離して、表面を整えました。ドラム側には0.6mmの穴を開けています。

準備したのは、0.5mm径の洋白線と、園芸用の被膜線。被膜線は中の芯線を引き抜いて、チューブだけを使います。同じ長さに切った洋白線に差し込んで、ニップルに見立てます。

治具を作りました。高さの調節は、リムからスポークを切り離す前に済ませておきましょう。

外側のスポークから順に張っていきます。瞬間接着剤で、塗装済みのハブに直接くっつけていきます。片側全部が張れたところで、更に瞬間接着剤を流し込み、固めます。 片側を張り終えた状態で、既に相当がっちりとしています。

ひっくり返して、反対側を、今度は内側のスポークから張っていきます。ニップルの付け根と、リムの裏側に瞬間接着剤を流し込み、完全に固まったら、リムから飛び出したスポークの余りを切り落としましょう。後でリムを塗装すれば完成です。
 この作業、充分に気をつけてやっていたつもりでも、切り口が鋭い洋白線を2度も指に刺してしまいました。でも大丈夫、刺したところは瞬間接着剤で一発完治です。
 前輪だけで1日かかってしまいました。

2014年7月12日土曜日

YAMAHA YZ250(その4)

チャンバー工作の続き。今日はサイレンサー部分です。
 上の黒い方が、キットのノーマル部品。コンペティション・モデルなので、造形的な遊び心はありません。ブブッブブブ・・・という音が聞こえてくるようです。
 そして、下の白い方が新規に作ったもの。往年のTZを模しています。エキパイ後端は、サイレンサーにややオフセットされ、下側には補強が入ります。サイレンサーにはビス止めされます。サイレンサーの後方はやや丸みを帯び、長めのテールパイプも緩やかにカーブして下を向きます。

塗装前ですが、イメージに近いものが出来ました。乾いた破裂音を残して、勢いよく飛び出していくマシンの後姿を妄想しています。

2014年7月10日木曜日

今日のチンク

現行チンクエチェントの7周年を記念して、限定車が発売されたようです。もう7年も経ったのかぁ。。。オジさんも歳をとる訳だ。そう、今週の月曜日に誕生日を迎えたのでした。

さて、今日のチンクは、ご覧のとおり今にも朽ち果てそうな1台。オジさんと同世代なんだろうな。身体じゅうに相当疲れが溜まって、きっとあちこち痛むんでしょう。満身創痍です。何だか自身と重なるようで、少し切なくなりました。オーナーさん、お金はかかるかもしれませんが、コツコツとレストアしてあげてくださいな。

2014年7月8日火曜日

YAMAHA YZ250(その3)

エキスパンション・チャンバーを加工します。
 先ずは、キットの部品を貼り合わせます。フレームの隙間の限られたスペースで、最大限の容量を確保するためなのでしょう、複雑な形をしていますね。貼り合わせた溶接跡は、全部消してしまいました。ステー用の穴も塞がなければなりません。

やや平べったくボリュームの足りない部分にエポパテを盛りつけて、どこを切ってもなるべく真円に近くなるようにしておいてから、伸ばしランナーを貼り付けていきます。本当は、けがきナイフのようなもので浅い溝を掘っておき、そこにランナーを貼り付けた方が良いのだろうと思います。でもそんな道具は持っていないのでした。
 してみれば、真っ二つの貼り合わせから、細かい輪切りパイプを繋げたチャンバーに変更しようという企みです。後ろの方には、伸ばしたランナーがたくさん転がっていますが、たくさん伸ばした中から、丁度良い太さの部分を探して1本ずつ貼る、根気の要る作業になりました。

貼りつけたランナーが大袈裟にならないようヤスリをかけてから、サフを吹いてみました。上手な人なら、こんなことをしなくても、十分に溶接跡らしく見えるようメリハリのきいた塗装を施すことができるのかもしれません。何と言っても塗装が下手くそなオジさんは、ちょっと「わざとらしく」見えるくらいのこの方法が、合っているようです。でも、こうして折角苦労して加工したこのチャンバー、耐熱ブラックで塗ってしまうのが少し勿体ない気がしてきました。

2014年7月6日日曜日

ローマ2景

快晴の日曜日、通勤カバンを買い求めに、郊外のアウトレット・モールへ出かけました。セールをやっていたのはラッキー。
 それにしても、白い傘を並べて吊るしただけのしつらえが、こんなにもおシャレでセンス良く見えてしまうのは、地中海ブルーの空のなせる業でしょうか。

街中には、ようこそニッポンのラッピング・バスが。欧米の人たちよ、中国人や韓国人と見分けがつかなくても良いです。どうぞ一度日本を訪れて、日本の良さに直接触れてみて欲しい。そんな思いを抱きます。

2014年7月5日土曜日

YAMAHA YZ250(その2)

シリンダーヘッドの冷却フィンは、こんなふうに内側から1枚ずつ重ね貼りしていく仕組みです。この作業、やってみると実に楽しい。

きれいに並べたヘッドフィンのエッジを整え、磨いてみました。インストでは、ヘッドの部分だけ、エッジをメタル塗装しなさいとなっています。でも、ブラックのままでも充分に美しく、カッコ良いです。

フレーム、スイングアーム、エンジン、モノコック・サス、キャブ、エアクリーナーが仕上がりました。私の工作スピードとしては、異例なくらいの速さです。理由は2つあって、ひとつには初めて手がけるモトクロッサー故、どこをどうイジってよいのか分からないのです。今ひとつは、流石はレーサー、極限まで無駄のないシンプルな構造なので、部品点数が少ないということでしょう。フレームなどは、こんなに細くて大丈夫?ってくらい華奢に見えます。

問題はこのエキスパンション・チャンバー。いわゆるモナカタイプというのでしょうか、貼り合わせ構造なのです。が、ご覧のとおり貼り合わせの位置が途中からガクっとずれていたり、へんなところにステー用の穴が開いていたり。サイレンサーの形状も、時代だから仕方がないとはいえ、お世辞にもカッコ良いとは言えません。
 チャンバー工作は、この作品の肝と考えていたので、ここは少し時間をかけて取り組むことにします。

2014年7月1日火曜日

YAMAHA YZ250(その1)

 新シリーズの開始です。
 お題は、YAMAHAのモトクロッサーYZ250。なんと世の中に登場したのは1973年というから、実に40年以上前のモデルです。32.5psを絞り出す2ストローク単気筒エンジンと、新設計のモノサス、乾燥重量99kgという軽量な車体を武器に、瞬く間に表彰台を独占することになります。
 実は今回、このキットを前にして、まだ明確な完成イメージが固まっていません。製作方針がぐらぐらしているまま、見切り発車でスタートしてしまいました。どうなっていくのでしょうか。

 先ずは、全体のデザインがどうなろうが、影響を受けることのないエンジン腰下から。
 クラッチ・レリーズは、クランクケースの底にありました。すなわち、全く見えない場所です。それなのに、キットの部品があまりに雑な一体形成なので、もう放っておけません。

 アルミ板や洋白線などを使って、それなりに見えるよう加工しました。誰にも気付いてもらえない部分に、つい手間ヒマをかけてしまう。SとMの気質を併せ持つ、モデラーの性というものでしょうか。
直前に手がけたハーレーの工作が、あまりに長い日数を要してしまった反省から、今回の作品は、なるべくさらっと、手早く作りたいのです。なるべくね。今はそう思っています。今はね。