2018年10月22日月曜日

古代の天文学なのか

 アスワン・ハイ・ダムという名称は、誰しもが教科書で学んだ記憶があろうと思います。そのアスワンから約3時間、砂漠に浮かぶ蜃気楼を見ながら車で走ると、唐突に現れるのがアブシンベル神殿。
 古代エジプトのファラオの中でも、最も権力基盤が強固だったラムセス2世が、ナイル川をどんどん南の上流に向かって、果てはこんなところにまで治世が及んだことを民に示すために作ったとされています。3000年以上も前の話。
神殿の門には座像が4体並んでいます。これ、4つともラムセス2世です。
 そして、中央の入口からずーっと奥まった突き当りの壁際に、太陽神ラーなどと共に4体の立像があるのですが、2月22日と10月22日(今日)の年に2回だけ、朝日が真っ直ぐに入口から通路の一番奥まで差し込み、ラムセス2世像を照らすのです。
 おお、なんという古代天文学の素晴らしさよと感じるでしょう。
 でも実は、この神殿自体が、ハイダムを建設する際に、湖に水没するおそれがあったため、元々の場所から数十メートル移設されているのです。どうやって移設したのかまではよく解りませんけど、年に2回の朝日の角度は、現代の天文学でもちゃんと計算して復元されたっつうことなんでしょうかね。
 まあそれらが何の日なのかについては未だに諸説あるそうです。ラムセス2世が権力を絶対的なものとするため、自らを神格化させるための壮大な仕掛けだったのではないかとも考えられています。いずれにしても、毎年大勢の観光客がその神秘のパワーにあやかろうと押しかけているのですから、正解は謎のまま残しておいても良いのではと思いますね。

2018年10月14日日曜日

カムバックがブームのようですが

 カワサキのH2やZ1の後に続けとばかりに、スズキ刀がカムバックを果たしますね。ただ、そのスタイルには賛否両論というか、どちらかというと「これじゃない感」を訴える声の方が多いような気がします。私もその口かな。ハンス・ムートの衝撃はあのときの一度だけ。
ここ数年の間、二輪も四輪も、往年の名車と呼ばれた車種が次々にカムバックしている状況は、一面では嬉しいし、間違い探しをするみたいな楽しさも覚えます。
 我らがモンキーは、125ccの大猿に成長して早々に戻ってきました。ツーリングバイクの代表選手だったセローも、もっと大きいアフリカ・ツインも。
 四輪では、86を筆頭に、ランクル、ジムニー、S660などやはり個性的な車が多いですね。すごいところではルノー・アルピーヌなんてのもそうでしょう。
 ちなみに、個人的には、3シリーズといった数字や、Cクラスなどアルファベットでグレードを表す車種表記よりも、ジュリエッタなどの固有名詞が冠されている方が、なんとなく愛着が沸く気がします。モンキーはZ50じゃなくて、やっぱりモンキーなんです。マッハもZ2も。
 翻って、世代を幾つも超えてひとつの車種が乗り継がれるのは素晴らしいことだと思います。そういう意味では、スーパーカブの60周年や、ヤマハがSR400の生産を再開したことには、心から敬意を表したいと思いますし、将来はそのどちらも新車で乗ってみたいとすら思っています。
 ただ、それと最近のカムバック・ブームは、何がどうとはっきり言えないながらも、どこか意味が違うことのような気がしてならないのです。
 車離れ、バイク離れが進む中、或いはエンジンの電気化が加速する中で、二輪・四輪メーカー共に「生き残るための販売戦略」が見え隠れしてならない。確かに、動力性能や技術の進歩は目覚ましく、中身は往年の名車とは比べものにならない進化を遂げているのでしょう。
 でも、私が拙ブログで何度も繰り返して主張してきているように、バイクや車は、いつだって私たちの生活の中に寄り添い、生活を豊かにする様々な経験を共に歩むための相棒でなければならない。現代の素晴らしいテクノロジーは、時代の移り変わりや消費者のニーズに対応するだけにとどまることなく、これからどんな乗り物を相棒に、どんなライフスタイルを提案していけば人の暮らしが豊かになるか、いわば新しい時代をまるごとデザインしてほしいと思うのです。
 オジさん世代のお財布と共感をアテ込んだ「往年の名車復活」という錦の御旗を掲げる各メーカーさん、前を向きましょうよ。誰が乗ってもカッコ良く、若者にも手の届く価格で、新しい時代ごとセンス良くデザインされた乗り物。さすがだ日本と世界に言わせましょうよ。