2020年2月25日火曜日

カイロの床屋さん

 近所の床屋に行ってきた。
 去年の秋頃までは、カイロに住み個人で自宅訪問営業していた日本人美容師(女性)がいたので、ずっとお世話になっていたんだが、帰国してしまった。かろうじて年末年始は私も日本に一時帰国できたので、日本で散髪した。が、それも2月末ともなれば最早限界、どうにも我慢ならなくて、地元の床屋さんに行く決心をしたのでした。
 カイロには実は床屋さんも美容室もたくさんあります。理髪店に限って言えば、すごく汚くて安そうなガチのローカル床屋か、もしくは、いかにも若者向けの小洒落た店の2種類にはっきりと分かれる。後者は、なんて言えば良いのかよくわからんけど、ブロック?アシンメトリー?短いところと長いところの差が極端な、プロサッカー選手によく見る髪型にしてくれちゃいそうで、初老の私には到底無理がある。
 で、行ったお店はこんなところ。外観からは床屋さんを想像できないし、内部の様子が見えないので、余計に怖い。「フランソワ」という、何故かフランス語の店名。
恐る恐る店内に入ってみれば、日本だったら田舎で老夫婦が営む昔ながらのレトロな床屋さんをちょっとだけオシャレにした感じ。椅子なども少し年季が入っている。意味不明のアラビア音楽がBGMだ。とは言え、汚いという印象はない。理容師さんは、一人が50過ぎ(店長さんか)と、もう一人が40過ぎとおぼしき、どちらもオジさん。40代の方が担当してくれた。
 まあね、バリカンも、スキばさみもちゃんと使うし、簡単な英語も通じる。手つきも良い。腕は確かだ。そりゃ、100%天然パーマしかいないエジプト人に比べれば、日本人の直毛は切り易いんだろう。シャンプーの後には肩揉みまでしてくれた。丁寧な仕事と接客に満足して、代金を聞けば、150ポンド=約900円だという。
 果たしてこのお値段、日本の駅前にある1,000円床屋と比べて、どうなんだろう。技術もクオリティもほぼ変わらない。真剣に考えちゃうと、せっかく感じたお得感が薄れてしまいそうなので、やめた。なんたって、以前は日本人の美容師に50米ドル=5,500円も払っていたのだから。
 でもこれで、今後のエジプト生活における床屋さん問題がスッキリと解決されたのは確かだ。ストレスの種を一つ減らすことができたという意味で、収穫は大きいんです。

2020年2月24日月曜日

モデラーのためのワークステーションだってさ

 天皇誕生日の振替休日の今日、まあ今日に限ったことではないんだけど、相変わらず朝からネットサーフィンが楽しい。
 で、見つけたニュースがこれ。「プラモデルに集中したい人のためのワークステーション」その名もArtty Station。一応定価はあるけど、クラウドファンディングで値引率が変わってくるという形で販売されるようだ。
 デスクの上に置く棚のようなもので、最も小さい「ソロ」から、大きさや形が異なる6種類がラインナップされている。最大構成が以下の「オペラ」。幅120cm、奥行き60cmのデスクいっぱいに乗っければ、モデラー専用デスクの出来上がりという形。お値段ですが、税込予定販売価格54,780円。安くはない。
元来、男の子は、小屋、ガレージ、一人部屋、隠れ家、秘密基地といった、独りきりになれる自分だけの空間が大好きな生き物だと思う。大人になったら、いつか自宅のガレージには壁のフックにたくさんの工具が吊されていて、イカしたポスターが貼られていて、無骨な作業デスクでコーヒーを飲みながらバイクを眺める。流れる音楽はjazzかな。そんな憧れを抱く生き物なのです。
 車もバイクも乗らないという隠キャであっても、プラモやフィギュアを製作する、あるいはパソコンを分解してイジる時に、こんな専用デスクがあったら良いなぁと、間違いなく一度は夢見るであろう。私だってそうだ。だから、そんな夢を商品にして販売にこぎつけた人たちは、偉いと思う。
 しかーし、仮に懐に余るほどのお小遣いがあったとして、あるいはなけなしのヘソクリをはたいてこのワークステーションを果たして購入するだろうか。
 一般的なアマチュア・モデラーに共通する一番の悩みは、「製作スペースがないこと」だと思う。都心部で家に自分だけの書斎を持つことができる幸運な人は、極めて少ない。かろうじて小さなパソコンデスクがあるくらいじゃないだろうか。そんな環境でプラモデル製作をしようとすると、いちいち大変なんです。食卓じゃあなんだからと、リビングのテーブルに模型キット、工作マット、工具、プラ板、塗料、取説、デスクライト、老眼鏡…そういった様々な物を広げてしばし楽しんだ後は、再び全てを片付けなければならない。要するに、製作途中の状態のまんまで放置しておける場所がないのです。
 現実の生活はそんなだから、この素晴らしいワークステーションを備え付けた大きなデスク、しかもプラモ製作以外に用途のないデスクを、ドーンと据え置いても家族に邪魔な顔をされない余分なスペースが家の中にあるかというと、まあ難しいですよね。

2020年2月16日日曜日

エジプトでIQOSに変えてみたが。。。

 ホントに今更なのだが、タバコからIQOSに変えてみました。たまたま同僚が以前購入した新品未開封の本体が余っているというので格安で譲ってもらったからなのだが、以前からまったく興味がなかったかというと、そうでもない。まあ、本体と一緒に分けてもらった中身(タネ)が2カートンしかないので、それが尽きる頃には飽きるだろうとタカを括ってスタートしたのです。まあでも別にIQOSに変えたところで吸う本数が減ったわけでもないし、大差ないかなと。
 ところが、数箱吸うか吸わないかのうちに、気まぐれで従来のタバコを吸ってみると、これがとてもじゃないけど臭くて吸えない。紙が焦げた匂いが強烈にするんです。びっくりするくらいに。なので、もう普通のタバコには永遠に戻れない片道切符を購入してしまったのだと悟ってしまったわけです。
そうなると問題なのは、エジプトではタネが買えないじゃないか。どうすんだ。と思って、調べてみると、どうやら売っているらしい。ただし、IQOSの製造元であるフィリップ・モリス社ではないところから販売されている類似品というか、ジェネリックものであるようだ。
 そして呆気なくタバコ屋で見つけたのが、これ。HEETSというブランドで、何種類かのフレイバーがある。外れがなさそうなメンソールを選んで購入。パッケージには、何やら見慣れない文字が表記されている。読めないどころか、何語なのか見当すらつかない。かろうじて、製造元と思しき部分に電話番号が書かれている。「+374」で始まる国。調べると、アルメニアでした。トルコとアゼルバイジャンに挟まれた旧ソ連から独立した国。エジプトからも近いっちゃ近い。正規輸入とはあまり思えないのだが、驚いたのはそのお値段で、1箱が100ポンド=約600円。日本よりずっと高いじゃないか。今まで吸っていたマルボロが1箱40ポンド=約240円以下だったので、それに比べると3倍近い。しかも、カートン単位でしか売らないんですという。
これじゃあ健康に良い悪いという以前に、お財布に厳しい。どうすんだこれ、と、しばし深刻に悩んでみたのだが、結論は、本数を減らす以外にないというものでした。ICOSに変えて本数を徐々に減らし、行く行くはフェードアウトするように静かに禁煙できるのではないかという目論見。果たして欲望に弱い私は、自身で描いた青写真のとおりに行動できるのだろうか。炭水化物ダイエットで成功を収めた今の私なら、禁煙すらもできてしまうのか。いや、甘いか。

2020年2月9日日曜日

郵政カブがなくなってしまうのか

 もう3週間くらい前のニュースを今更なのですが、本田技研工業が郵便配達用に電動バイクのBENLY e(ベンリーe)の供給を開始したそうですね。昨年中に既に200台、今年は2,000台を納入し、都内の郵便局で運用が開始されると。

長年にわたって全国の郵便局員の足となってきた真っ赤なスーパーカブ、いわゆる「郵政カブ」が消えてしまうのではないかと、既にネットではその勇姿を惜しむ声が上がっています。
 スーパーカブといえば、大きなキャリアと籠を搭載した新聞配達、オカモチ装備の蕎麦屋と並んで、ホイール径14インチの郵政カブ、これらは、日本人の日常生活を支える乗り物と言っても過言ではないでしょう。それが、電動バイクに取って代わられる。どうにも抗うことのできない時代の流れとでも言いましょうか。
 うちのカミさんの実家がある北海道では、冬の雪道でもベテラン局員が郵政カブを見事に駆使し、ドリフトさせながら配達する様を見せつけられた記憶があります。「なあに、圧雪はそれほど滑んないんだわ。怖いのは轍。」そんなセリフが聞こえてくるようでした。
 手紙を書かない時代、年賀状すらデジタル・メッセージになり、郵便局の業務や役割自体も遠からず変化していくのでしょう。カブではない郵政バイクに違和感を抱くのも、最初のうちだけなのかもしれません。でも、ピザ屋みたいですよね。

2020年2月6日木曜日

そして迎えたインプラント手術

 終わりました。インプラント手術。これが終わるまで、ソワソワと迫りくる恐怖で、何も手につかない感じの日々でした。
 今日は一日仕事を休んで、朝10時半のアポに備えます。術後すぐは食べることができないだろうから、朝一から大盛りパスタをかっ込んで、逃げ出したくなる自分に勢いをつけました。ていうか、昨日の夕方くらいに歯科助手のお姉さんから電話があり、「抗生物質ちゃんと飲み始めてますか?明日はお待ちしてますからね」と、しっかり釘を刺されていたのでした。
 歯科医に到着すると、受付で治療開始前にお金を払ってくれという。大丈夫だよ、逃げたりしないから。
 で、麻酔科医によってたっぷりの麻酔がかけられ、おもむろに教授先生が手術を開始。なんていうか、あれはもう歯科治療というより、建設工事みたいなもんですな。非力な女性にはできそうにない作業、そんな印象でした。局部麻酔だけど鏡があるわけじゃないので、目の前には教授先生と助手の覗き込む顔と、何やら先端が鋭い機材しか目に入りません。見てると怖いだけなので、目をつぶったまま1時間ちょっとはかかったでしょうか。それほどの痛みもないまま終了。歯がなくなった隙間を埋める入れ歯のようなものも、既に出来上がっていて、人前に出るときはそれをすぽっとはめるだけ。後は、3ヶ月後に本ちゃんの義歯を入れれば完了となります。
 術後にレントゲンをとり、インプラント の位置を確認した教授先生、「見なさい、骨のど真ん中に、しかも理想的な角度で埋めこんだ。我ながら完璧。あなたはラッキーだよ」と。確かに、麻酔はとてもよく効いていたし、先生の手際も良かった。なんなら練馬で通っていた歯医者より技術的にも上かもしれない。
「ハイ、麻酔の先生、助手の諸君、ご苦労さ〜ん」と言って満足げに部屋を出ていく教授先生の顔は、とても満足そうで、背中には今日はビールが旨いぞと書いてあるようでした。あ、でも酒は飲まないのかな、ムスリムだから。でもドイツの国家資格取ってるのにビール飲まないってあり得ないよね。
  書いてもらった処方箋を持って、その足で近所の薬局へ。痛み止めと、白血球の働きを助けるステロイド剤のアンプルを購入。こちらの薬局ではその場で注射してもらうんですが、親分みたいな店主の指示を受けたのは、たぶん息子と思しき男なんだけど、どう見てもまだ十代の少年。白衣なんか着てません。普通にGパンとパーカー。
 え?こいつが注射するの?という質問をしたところで、事態は何も変わりそうもないので、もう毒を食らわば皿までの心境で、奥まった汚いところに進み入る。「肩?」と尋ねると、「尻だ」という。まあ、注射器も針も包装された新品なので、滅多なことにはならないだろう。で、ブスッとやって、レジにいた別のお兄ちゃんに幾ら?と聞くと、24ポンドだという。150円くらい。ほんまかいな。
  明日と明後日は、きっと襲ってくるであろう痛みと戦うため、痛み止めの錠剤片手に家でゆっくり療養します。あ、でもステロイド剤の注射はあと2日続けるんだった。明日は別の薬局に行こう。