2018年12月24日月曜日

世の中はクリスマスですが。。。

 今日、世の中はどこもかしこもクリスマス・イブですが、ここエジプトではほとんど関係ありません。
 単身赴任の中年サラリーマンだからクリスマスなどというイベントとは無関係だということを言いたいのではなくて、国民的・宗教的に関係がないのです。
 約1億人と言われるエジプトの人口のうち9割がムスリム(イスラム教徒)で、残り1割がコプト教徒です。

 コプト教というのはキリスト教3大分派の一つである東方正教会系からさらに分かれて主にエジプトで発展した一派。マタイの福音書に、聖なる家族がエジプトに逃避したという記述があることから、聖母マリア信仰がたいへん厚い。豚肉や飲酒を忌避する所謂ベジタリアンで、ムスリムとは異なる時期に断食の習慣もあります。
 さて、エジプトの古代暦であるコプト歴では、1年の始まりは西暦では9月11日にあたり、クリスマスは1月7日なのです。ですから、カトリック教徒がほとんどいないエジプトでは、クリスマスは12月25日ではなくて、1月7日なのです。だから今日はあんまり関係がないのです。
 街中をイルミネーションが飾ることもなければ、サンタの格好をした客引きもおらず、ショーウィンドウにセールの表示が躍ることも鈴の音が響くこともありません。ましてや若いカップルがレストランの予約を争うことも、ケーキを抱えたお父さんが夜中にこっそりプレゼントを子どもの枕元に置くこともありません。
 そういう意味では、寂しい単身赴任の身であっても、何やら「追い込まれてる」意識を持たなくて済むので、精神的にはちょっと救われてるかな。
 ともあれ、どちらさまもメリークリスマス。

2018年12月11日火曜日

オレたちのCBが変わってゆく

 ホンダCB。
 車と言えばトヨタ・カローラ、バイクと言えばホンダCBと言っても過言ではないでしょう(異論は認めます)。それくらい多くの人に親しまれてきたモデルであることは間違いありません。
 最近発表されたCBシリーズ(写真はCB500X/CB125X)を見ると、永年抱いてきた上のようなイメージが最早古いものであり、そのスタイルや楽しみ方が大きく変わってきているんだと思い知らされます。


原付からナナハンまで排気量の大小を問わず、様々な人に様々な感動と思い出をもたらしてくれたホンダCB。
 私の原風景の一つもCBが一緒でした。高校生最後の夏休み、リュックひとつ背負ってCB50Sにまたがり、房総半島一周のソロ・ツーリングに出かけました。反対車線をすれ違いざまにピースサインを交換する嬉しさ、人も車も一切途絶えた杉林の道では、静寂の中にこだまする落ち着いた排気音のみが聞こえ、エンジンの鼓動と会話しているような、或いは抱かれているような錯覚に陥りました。いつまでも、どこまでも走っていたい、そんなふうに感じたあの数日間の体験が、私のバイクに対する思いの原点なのです。
 山間の長い上り坂では非力なエンジンが熱ダレしやしないかと心配になり、夜道では明るさが充分でないヘッドライトのみを頼りに慎重にコーナーを曲がり。。。今のバイクでは考えられませんね。
 テクノロジーの進化は良いことですし、大いに歓迎すべきことです。その時代の役割を終えた人もバイクも、進化した新しいものに取って代わられるのは、運命であり必然です。時代の変化を真摯に受け止めるべきなのでしょう。
 ひとつだけ望みたいのは、進化したモノが、新しい世代の人に、古い世代が体験したのと同じくらい或いはそれ以上の感動と思い出をもたらすものであって欲しい、ということです。特に、ホンダCBというバイクにあっては。

2018年12月7日金曜日

カイロでオペラ「アイーダ」を観るということ

 12月4日から公演中のオペラ「アイーダ」を観てきました。
 ヴェルディ作曲による古代エジプトの首都メンフィスを舞台としたこの作品、初演は1871年、ここカイロのオペラハウスです。こけら落としにこそ間に合わなかったものの、それを想定してヴェルディに作曲を依頼した、エジプトにゆかりの深い作品。
スエズ運河の開通を祝って建てられた初代のオペラハウスは、1971年に火災で全焼してしまいます。しかし1988年に、日本の無償資金援助により現在の場所に見事に再建され、今年はその30周年を迎えた節目の年。何だかんだと言われることもある日本のODAですけど、こういう立派なものを目の当たりにすると、日本人の一人としてちょっと胸を張りたくなるのは私だけではありますまい。
 初日と昨日の2回、主役アイーダを演じるため、日本から中丸三千繪さんがゲスト出演してくれました。マリアカラス・コンクールで優勝した唯一の日本人歌手です。
 エジプトのファラオの王女、敵軍エチオピアの王女、その敵軍を討伐したエジプト将軍の禁断の三角関係。アイーダへの恋心のため国を裏切ろうとした将軍を、しかし彼を愛するが故にその罪から救おうとするエジプト王女、その甲斐もなく死罪となった将軍への愛を貫き、共に生き埋めとなる道を選んだアイーダ。そんなお話です。
 第一人者である中丸さんのステージというだけでなく、古代エジプトの神殿などをモチーフとしたきらびやかで壮大な舞台装置や、イシス神への信仰を裏付ける数々の装飾や衣装は目にも楽しく、僅か900円くらいのチケットがホントにお得に感じられました。
 単身赴任サラリーマンの単調な毎日を送る中、たまにはオペラも良いですね。