2017年5月27日土曜日

今日からラマダン

 今日の夕方から約ひと月にわたって続く聖なる月、ラマダンに入りました。
 ラマダンそのものについては、私などが下手な解説をするまでもなく、ググればすぐに意味は分かりますし、昼間の断食の習慣は、広く知られていますね。
 でも、こちらに来てから知った豆知識も幾つかはあります。
 まず、その年のラマダンの開始日については、だいたいこの日あたりということはあらかじめ解っているのですが、実際には1~数日ずれることがあります。これは、イスラムの偉い長老さんたちが会議を開いて、月の満ち欠けを見ながら、そろそろ良いあんばいなんでそれじゃあ明日からにしようとかいう最終判断を行わないと確定しないからなのです。人々は確定情報をテレビやラジオで直前に知ることになります。


 次いで断食ですが、要するに太陽が上がっている間は、飲み食いはおろか、タバコすらも禁じられているというのです。水くらい良いんでしょ?と訊いても、ダメと言います。じゃあ子供はどうなんの?赤ちゃんに授乳しないわけ?とたたみかけてみました。12歳くらいまでの子供は、昼間のうちの半分の時間だけ我慢すればよくて、乳児の授乳はもっともっと短い時間になると。まあ、そりゃそうだろう。
 ラマダン初日の今日、人々は18:45から朝食(Break Fast=断食明け)を食べ始めるとされています。では、これから夏に向けてどんどん日照時間が長くなるヨーロッパなどに住むイスラム教徒はどうすんの?陽があるうちは食べちゃいけないんだったら、夜は22時位まで余裕で明るいんだけど? これに対する答えは、そういう土地でもせいぜい20時とか遅くても21時くらいには食べ始めていいとされているんだそうですよ。
 とは言え、最初の一週間くらい、身体のリズムが慣れてくるまでは、エジプト人でもやっぱりきついんだそうです。

2017年5月21日日曜日

フンコロガシの話

 カイロはいよいよ暑くなってきました。気温は連日30度を大きく上回っています。暑くなると元気になるのが虫たちで、我が家にも数は少ないながらもハエ、蚊、蟻、何ていうんだか分からないすごく小さな蛾みたいなやつ、それに、Gまで出没します。日本のみたいな黒くて大きいG、ひたすら恐怖です。
 さて、実はエジプトには、古代から人々に太陽の神として崇められている虫がいます。フンコロガシ(スカラベ)です。虫界最強と言われる後ろ脚で糞団子を転がす姿が、Gなどと比べると何とも愛くるしいと言ったら、えこひいきだろうか。
古代エジプトの有名な太陽神「ラー」の姿には、「朝のケプリ、真昼のラー、夕刻のアトゥム」の3形態があり、「日の出」を表すケプリ神は、顔がフンコロガシという衝撃的なビジュアルをしています。古代の絵画にもたくさん登場しますし、宝飾品のモチーフとしてもたいへんにモテはやされています。
ところが、そんな古代エジプトの有力な神様が、実は現代の日本でも現役で活躍しています。しかもゲームの世界で。ご存じの方も多いだろうパズドラに、暁天の蒼空神ケプリというモンスター・キャラがいるのです。おじさんゲームやらないのでよく解らないんですが、高校生の息子は知ってました。こんな可愛らしい萌えキャラなわりには結構強いみたいです。しかも攻撃手段は糞をコロコロ転がすんだとか。

 さて、そもそもフンコロガシはなぜ糞を転がすのかというと、エサとして自分で食べるためと、糞の中に卵を産み付けるための2つの目的があるんだそうです。しかも、自分が確保した糞を仲間のフンコロガシや他の虫に横取りされないよう、なるべく遠く離れたところまで効率よく運ぶ、そのために団子状に丸めて運ぶのです。まあここまでなら昆虫の習性として解らない訳ではない。でも、これはどうでしょう。
 2013年、あのナショナル・ジオグラフィックが紹介した論文によれば、アフリカのフンコロガシは天の川を手がかりに方位を知るナビゲーション能力を持っているというのです。他のいかなる生きものに見られない特殊な能力です。また、他の昆虫のように物理的な道標を利用しない点でもフンコロガシは珍しいのだとか。たとえば、夜は月を主な手がかりに移動する蛾も、月のない日中はモノを道標に使います。しかし、フンコロガシは赤い納屋や木の幹があるところを左に曲がったりはしません。あくまでも空に注目する。たとえ曇りや空が見えない状況においても、フンコロガシのナビゲーション能力はちょっとは鈍くなるものの、それでも物理的な道しるべを頼りにしないんだそうです。
 七夕生まれのおじさんとしては、常に天の川を見つめるフンコロガシに運命的なものを感じ、大きな関心を寄せざるを得ないのです。

2017年5月14日日曜日

案の定からの凹(泣き)

 引っ越し荷物の最後の荷ほどきは、プラモ作品です。過去の苦い経験から学び、今回はふわふわのコットンやプチプチでくるんだ状態で個別の小箱に入れ、さらに段ボール詰めという念入りな梱包をしたつもりでした。段ボールたちも家の前まで木枠のコンテナに入っていましたので、港の荒くれ作業員たちに放り投げられるようなこともなく到着したはずなのです。
 それなのに、ああそれなのに。
   私がプラモ復帰する大きなきっかけとなった初期の代表作、CB750Fスペンサー号。哀れバーハンドルはぽっきり折れ、フロントのゼッケンプレートは落ち、リアサスが折れました。メーターのガラスも1つ行方不明です。
さらにひどいのは、自分の中では会心作のハーレー・カフェレーサー。シートカウルは外れ、ステップバーが折れました。サイドスタンドもウィンカーもとれてます。エンジンマウントが外れて、ぐらぐらしてます。
 かたや四輪の作品のうち、ミニモニ・シリーズ(ミニ・クーパー、トラバント、ルノー4、スバル360)はというと、テントウ虫のタイヤが1個だけ外れていましたが、それ以外はおおむねセーフ。やはり突起物が少ない四輪は、ダメージも最小限で済みます。
 ですが、未開封の作品がまだまだあるんです。でも、いっぺんに全部開ける勇気はありません。一つ一つ涙をこらえて修理しながら、徐々に開封していくことにします。一度にたくさんの作品が壊れている様を見るのは、さすがに精神的に辛いものがありますので。

2017年5月7日日曜日

エジプトでゴルフ再開

 随分長いこと、さぼってしまいました。
 日本の大型連休とは関係なくカイロで淡々とした毎日を送る中、ようやく配達された引っ越し荷物をほどき、真っ先にゴルフを再開しました。
 約2年ぶりとなるラウンドは、家から車で30分ほどのドリームランドという名前が素晴らしいゴルフ場。グリーン・フィは、練習ボールひと籠と電動カート代を含めて約2500円。安い。
 初夏のこの時期、コースのあちこちで木々が花を咲かせ、実にきれいです。とくに、過去のアフリカ勤務を瞬時に思い出させてくれたのが、薄紫の花を枝いっぱいに咲かせるジャカランダ。青い空と緑の芝に、この紫色が鮮やかに映えます。
肝心のプレイの方も、たまたまでしょうがまるでブランクがなかったかのようなデキで、大満足。日頃パソコン画面の見過ぎでさんざん痛めつけられた目の保養にもなりました。
 ところで、エジプトでゴルフって、砂漠なんじゃないの?と素朴な疑問を持つ方も多いでしょう。私もそうでした。どっこい、フェアウェイもグリーンもちゃんと芝が整備されていて、立派なもんです。違いといえば、いわゆるラフというのはほとんどなくて、その代わりに「土漠」と呼ばれるむき出しのベアグラウンドがフェアウェイ両サイドの木立ちの足下に広がっています。
 それと、ラウンドは例外なく電動カート。夏場は40度を超える暑さの中でのプレイですから、カートなしでは干からびてしまいます。もちろん帽子着用、凍らせた1リットルのペットボトルも不可欠です。単身赴任、原則スケジュールなしの暮らしですから、これから毎週末せっせとゴルフに通って、真っ黒に日焼けすることになるのでしょう。
 そういえば、エジプト人のプロゴルファーって、聞いたことがなかったな。いるのか、そもそも。そんなことがふと気になったので、調べてみました。
 いました。下の写真のお嬢さん、2007年にLPGAのプロになったNaela El Attarさんが、実はエジプト人として史上初のツアープロなんだとか。現在は母国に戻って、ジュニアの育成に力を注いでいるそうです。
 最後に、エジプトとゴルフというお題で、第一次大戦期の英国の首相デービッド・ロイド・ジョージ氏が残した科白をご紹介しましょう。
 曰く、
「私が最も尊敬するゴルファーは、誰あろうエジプトのスフィンクスだ。2千年になんなんとする間、バンカーに居ながら、泣き言ひとつ言わんじゃないか。」