2019年6月17日月曜日

トッティとのお別れにローマニスタ達は何を思う

 プリンチペ(王子様)の愛称で知られるサッカー界のスーパースター、フランチェスコ・トッティが、ASローマを退団というニュースが流れました。なんでも彼に対するリスペクトの欠片もないアメリカ人会長から追い出されるような形で、契約途中にして自ら身を引くことにしたということですが、真相は分かりません。
 地元ローマで生まれ、13歳でユースチームに入団して以降、トッティはASローマひと筋、2016/17シーズンをもって引退するまでの約30年の選手キャリアのすべてをチームに捧げてきました。そしてその間、通算307ゴールという偉業を達成。引退後も引き続きチームに残り、テクニカル・ディレクターとしてASローマを支えてきたのです。
 ASローマのサポーターは、俗に「ローマニスタ」と呼ばれます。ローマニスタたちの地元チームに対する愛は、日本でいえば虎党の阪神タイガースに対するそれを、更に濃くしたような感じと言えば、解りやすいでしょうか。とにかく日々の暮らしの中に、ASローマがあって当たり前、カフェでもレストランでも挨拶代わりに前日の試合での選手の奮闘ぶりを讃え合うのです。決して批判はしません。観戦は年間チケットを購入し、せっせとスタジオ・オリンピコに通うのです。
 そして、地元生え抜きで、一度も他のチームに浮気しなかった正真正銘のローマっ子であるトッティは、まさにASローマの顔であり、憧れと尊敬の対象であり、神様に近い崇め方をする熱狂的ローマニスタも少なくありません。
 事実、ホームの試合直前に電光掲示板を使って華々しく行われる選手紹介では、監督よりも後、いちばん最後に満を持してトッティがピッチに登場するのです。地響きのような歓声を浴びながら。
トッティ退団のニュースを、ローマニスタたちはどんなふうに受け止めているのでしょう。いや、受け止めきれないに違いありません。プリンチペ、あなたはASローマそのものでした。マンマミーア、あなたのいないASローマを、どうやってサポートすれば良いと言うのか。。。彼らの悲しみを代弁することは出来ませんが、きっとそんな思いなのでしょう。
 かくいう私も、永遠の10番をつけたユニフォームをローマ在住当時に購入し、エジプトに移った今でも家の壁に吊るして大切にしています。
 どのポジションを任せても最高レベルで機能する抜群のサッカーセンス、絶妙なラストパスを配給する見事なボールタッチ、ゴールを切り裂く弾丸シュート。ずり下がったストッキングと、レンガ色のユニフォームに背中の10番が最高に似合う、今世紀を代表するサッカー選手のひとりであることを疑う余地はありません。
 ありがとうトッティ。グラッツェ・ミーレ、プリンチペ。

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