去る19日、サッカー欧州リーグのローマ対フェイエノールト戦を直前に控え、オランダからローマに遠征してきたフェイエノールトのサポーターがスペイン広場で暴れまくり、スペイン階段下の彫刻「舟の噴水」を壊すという事件を起こしました。日本でも大きく報道されたので、ご記憶にも新しいと思います。
酒に酔い完全に暴徒化したオランダ人の集団は、シュプレヒコールをあげながら噴水に無数の発煙筒、ビール瓶、岩、ゴミなどを投げ入れ、彫刻の一部を壊したばかりでなく、周囲の建物、車、バイクやブティックのショーウィンドーなどにも破壊行為を繰り広げました。かけつけた数十名の警官隊と衝突、火炎瓶などを投げつけ、警官10人に怪我を負わせるという無法ぶりは想像以上で、youtubeにもアップされていますので、関心のある方は見てみてください。
舟の噴水は、バロックの彫刻家ベルニーニ親子による1629年の作品で、昨年秋に20万ユーロ(約2700万円)をかけて1年がかりの修復を終えたばかり。ローマを訪れる観光客がお目当てに訪れる名所であり、貴重な文化遺産の一つです。110か所に及ぶ傷は、完全な修復が困難とのこと。
日頃は割りと寛大なイタリア人も、今回ばかりはブチ切れています。レンツィ首相もローマ市長も、逮捕したオランダ人の身柄を本国に返させないため、所持しているパスポートを破り捨てろと駐在オランダ大使に申し入れ、280万ユーロと見積もられる被害総額については、オランダ政府に対しても賠償を求めました(もっとも、オランダ政府も、流石に国民の税金から賠償することはかなわず、拒否しているようですけど)。
このような暴挙は、サッカー・ファンの一人としても、かつてオランダに3年間暮らしたことのある者としても、文化や歴史遺産を大切に思う普通の人間としても極めて許し難く、ただひたすらに残念で、悲しいニュースでしかありません。
写真は、スペイン広場の近くで撮ったものですが、記事の内容とは関係ありません。
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