2016年9月6日火曜日

遠来の友と巡るイタリア(最終回:スーパー銭湯でひとっ風呂)

 無事ローマに戻って来た中年のおじさんコンビは、旅の最後にローマ市内の名所旧跡をせっせと、くまなく回るのでした。
 コロッセオ、フォロ・ロマーノ、スペイン階段、トレビの泉、真実の口、パンテオン、ナボーナ広場、サンタンジェロ城。。。あらゆるガイドブックやWEBサイトによって、これらの遺跡は紹介し尽くされていますね。ここでは敢えて割愛しましょう。
 代わりに、ローマ在住のおじさんが、これだけは是非にとお勧めするのは、フォロ・フォマーノからもほど近い、カラカッラ浴場(Terme di Caracalla)です。
紀元200年過ぎにカラカッラ帝により建造されたこの浴場、とにかく広大な敷地に建つ、床面積4万平米を超える巨大な総合娯楽施設です。今でいうところのスーパー銭湯か、大江戸温泉くらいかと思いきや、どっこいそんなもんじゃありません。まさに桁違い。
 敷地の外から水道橋で直接供給される水を、ゆうに向こう3カ月分くらいは溜めておける貯水タンクの上には、ちょっとした出しものを見せるステージが。そして肝心の風呂は、冷・中・温・熱の温度別。VIP用の個室、更にはサウナ、ジム、BARや果てはマッサージルームまで用意されています。地下には近代でも通用しそうな大がかりな冷却・温熱システムを備えます。
  他の古代ローマ遺跡の例に漏れず、これが日本の弥生時代の終わりころに作られたものだと思うと、あらためて古代ローマ人の偉大さに思いを致さざるを得ません。
  建物の最も高い部分は2階建て、40mにも達します。2000年前に、石造りの構造物に綺麗なアーチを設ける建設技術、おそれいります。
  壁という壁には豪奢な装飾が施され、フラスコ画や彫刻、床一面には贅沢なモザイクが敷き詰められていたのでしょう。ただし、経済破たんにより閉鎖後、それらの装飾物はほとんど全て剥ぎ取られてしまい、教会などその後の建造物の資材として流用されてしまったのです。下は、僅かに残っている壁の装飾の一部。壁の穴は、装飾などの表面材を支える杭が打ちこまれていた跡です。
  当時の想像図。阿部寛主演の映画にもなったテルマエ・ロマエの世界そのものだったのでしょう。
  基本、女人禁制ですから、きっと古代ローマの偉い役人たちやサラリーマン、更には地方からローマを訪れたおのぼりさんや出張に来たおっさんたちが、仕事や旅の疲れを癒す場所として、頻繁に通って来たことでしょう。
 「オイ、先ずはサウナでガッツリ汗かこうや」
 「ふ~熱っつ。ちと水風呂つかってくるわ」
 「あ、今日もマッサージいっとく?」
 「葡萄酒、冷えてんのあるってよ~」
 「いや、オイラまだ中温風呂でゆっくりするわ。あ~極楽極楽w」
などという会話が聞こえてきそうな、カラカッラ浴場でした。

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