2016年9月5日月曜日

遠来の友と巡るイタリア(その6:青の洞窟)

 ローマに戻って来た中年おじさんコンビの旅、夏休みの残り日数が少なくなってきました。ですがここは、遠来の共に是非とも余すことなく、貪欲にイタリアを満喫してもらいたい。
 そこで、ローマにある旅行代理店に飛び込み、急遽カプリ島に「青の洞窟(Grotta Azzurra)」を攻めに行くことにしました。日帰りバスツアーのお値段は一人180ユーロ。決してお安くありません。ただ、これを高いと決めつけるのは、ちと早計。
 自力で青の洞窟にたどり着くには、ローマからまずはナポリまで車で約2時間半、もちろんガソリン代、高速料金もかかります。ナポリ港に着いたら、付近で安心安全な駐車場を見つけるのは結構大変。フェリーのチケットはこの時期は当然に事前の予約を必要とします。ようやくフェリーでカプリ島に渡ったあとも、モーターボート(要予約)か、或いは陸路バス又はオープンカーのTAXIで洞窟の入り口まで移動、更に行列に並んで待ち、洞窟に入る小舟の料金と入場料。細かく計算していないのでホントにどちらが安いか分かりませんけど、これだけの手配を自分で何もしなくて良い上、リストランテでのランチまで料金に込みと聞けば、まあ納得できる範囲なのではないでしょうか。
 ナポリからの参加者と合流して高速フェリーに乗船。目指すカプリ島までは小一時間です。
  カプリ島の港に到着後、すぐに20人乗りくらいのモーターボートに乗り換え。垂直に切り立った岸壁を見ながら約20分。同乗の綺麗な韓流女子たちに思わず無断でパチリ。
  洞窟の付近に到着。この何とも言えない明るいブルーの海。透明度が高く、強い陽射しが深くまで達するからこその色なのでしょう。見とれてしまう、というか、今すぐにでも飛び込みたくなる衝動に駆られます。
  そして、洞窟の入り口には、順番待ちのボートや小舟がずらりと並んで渋滞していました。岸壁の建物と階段に連なる人たちは、陸路でやって来た人の列。この時期にしては少ないのだとか。我々が乗ったボートに順番が回って来たのは、およそ30分後くらい。1~2時間待機することもあるのだとか。なるほど添乗員がしつこいくらいに早め早めのトイレを勧める理由も、ここでは納得。
船頭の他に4人までが乗れる小舟に順次乗り移り、洞窟の中に一艘ずつ進入します。ただし、洞窟の入り口は波がない状態でも水面からのクリアランスは高さ1mくらい、幅も小舟ギリギリしかありません。なので、天候によってちょっとでも波が荒れていたり、潮位が高かったりするだけで、入れなくなります。知り合いの中には、3度訪れて1度も入れなかったという人もいます。
 船頭が、波のタイミングを見計らい、洞窟の天井に張られたロープを思い切り引いて勢いをつけ、一気に進入します。ヘルメットも何もなしですから、いくら身を低くしても頭をぶつけそうで、冷や冷やものです。
洞窟内に入ると一転、そこは静寂な別世界。どこからどう日の光が屈折して入るのか、神秘的な明るいブルーに輝く水で満たされていました。洞窟内の壁は、水の色が僅かに反射して広大な空間の存在を知らせてくれます。
やおら、船頭たちのカンツォーネが響き渡ります。わずか数分程度の遊覧ですが、一生に一度は見ておきたい景色の一つに挙げておいて良い、そんなふうに思わせてくれることは間違いありません。
僅か10平方km、千代田区とほぼ同じくらいの面積しかないカプリ島には、平たいところがほとんどありません。切り立った崖の上に続く斜面に、島民の家々が建てられています。そのため、島にはこんな登山電車のようなフニクラが人々の暮らしを支えています。
のんびり島の中を観光するのなら、こんな可愛らしい路線バスを利用するのも一案かもしれません。
 因みにカプリ島の特産品はレモン。レモンで作られるリモンチェッロは、イタリアを代表するリキュールです。すごく甘いので、好みは別れるかも。また、カプリ島のデザイナーが作る大振りで派手な装飾のカプリ・ウォッチ(腕時計)も人気。更に、イタリア料理の前菜には欠かせないモッツァレラ・チーズ、トマト、バジリコの葉を交互に並べたサラダ、カプレーゼは「カプリふう」という意味。緑、白、赤の3色のいろどりは、初代イタリア王妃マルゲリータがナポリ出身の王室料理人に好んで作らせたというピッザ・マルゲリータと同様、イタリアの国旗そのものですね。

2 件のコメント:

迷走 さんのコメント...

こうした旅行記を読み、
こうした風景を見、
こうした暮らしを聞くと、
真に豊かであるって言うことは
金銭などとは異なり精神的なものであると
思い知らされますね。

それにしても心震わせる美しさですね。

みやっち さんのコメント...

>迷走さん
少しでも旅情が伝わっているのなら、嬉しい限りです。
まあ、写真だけでも充分に説得力があって、それもすべて被写体である景色のなせる業なんですけど。