2019年8月6日火曜日

ナイルに暮らす

 渋野日向子クンの記者会見を観ていたら、ブログで1000回目のエントリなんていう小さなことで悩むのがバカらしく思えてきました。なので、連投してあっさり通り過ぎることにしました。
 さて、太古の昔より、エジプト人にとってナイル川はまさに命綱であり、命の源であるわけです。なんと言っても、国土のほとんどを占める広大な砂漠に1億人の民がいて、その9割はナイル川流域で生活しているのですから。
 私が勤める会社からもほど近い川岸に、対岸のギザ(3大ピラミッドがある地区)との間を往復する渡し船が運航しています。フェリーと呼ぶほど大きくなく、対岸までは5分もかからない距離感ですが、実は陸上をカイロの中心まで北上し、橋を渡って再び南下するという自動車のルートによる場合、1時間はゆうにかかります。乗り合いバスなら15ポンドくらいはかかるでしょうか。それが僅か5分で着いてしまい、しかも料金は2~3ポンドくらい(15円くらい)とお安いため、対岸地区で働く人たちにとってはこれ以上ない便利な通勤手段と言えましょう。 だから、徒歩の人だけでなく、自転車やバイクごとどんどん乗ってきます。船が一杯になったら出航。次の船を待つのです。
 かと思えば、先週は、社内の私のチームに定年退職した者と、最近結婚式を挙げたスタッフがいるので、彼らのために「ファルーカ」と呼ばれる木製のボートを借り切って小さな船上パーティをしました。真ん中の大きなテーブルを囲むようにコの字型にベンチシートが備わっている20人乗りのボートで、夕方6時から2時間。船頭へのチップ込みでボート代は500ポンド=3,000円くらいと、びっくりするくらい格安です。
 ため息が出るほど美しい夕暮れに染まるナイルに浮かぶ船で、デリバリーの食べ物をつまみながら、ゆったりと過ごす2時間。つい一昨日は会社からそう遠くないところでテロ事案が発生したりと、そこらじゅうにストレスの種が転がっている日々の中で、このひとときばかりはエジプトも捨てたもんじゃないと思わせてくれます。スタッフのひとりがスマホにつないだbluetoothのスピーカーから流す、美空ひばりの「川の流れのように」は、かなりナイルのイメージとはズレていましたけど、まあそこはご愛嬌ということで。
「ナイルの水を飲んだものは、再びナイルに戻る」と言い伝えられているそうです。私がこれからそう長くない人生の中で再びナイルに戻ることは、まずないだろうと、今は思うのですが。

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