2015年1月8日木曜日

1/24 Landrover 109 LWB (その3)

 1950年代の東アフリカ。英国による植民支配の中心として栄えたケニアのナイロビが、今回の作品の背景舞台と設定しました。市販から間もないランドローバーは、サバンナの大地でその能力を存分に発揮したことでしょう。
 入植白人により広大な土地と資源を剥奪された黒人たちはしかし、キクユ族を中心とする秘密結社マウマウ団を結成、自分たちの手に土地を取り戻すための抗争が国内外で激化します(ちなみにケニアの独立は1963年)。
 本国から輸送した車両を乗り回し、それまで我がもの顔で大規模農場や商業で富を築いてきた英国人は、黒人による襲撃、車両や物資の略奪行為に備え、ライフルなどの銃器で常時武装し、細心の警戒をもって暮らす毎日だったに違いありません。
 
そんな考察を踏まえて、作品の車両についても、荷室のサイド・ウィンドーと、リアハッチの窓に、鉄製のバーグラー・バーを設置しました。荷物の略奪を防ぐためです。後付けで粗っぽく溶接されたものであることを表現するため、ボディとの接着部にはたっぷりとセメントを流し、プラ材を溶かしながら先端の尖った道具で溶接個所を波立たせます。
 キャビンの窓は防ぎようがないものの、助手席には武装した黒人ガードマンを乗せていたと考えられます。勿論、十分な報酬で手なずけているとはいえ、いつ寝返るか分からないリスクを覚悟してのことです。
 この車両を、きれいに仕上げるつもりは全くありません。震え上がるような雷鳴と共に叩きつけるように降る雨期のスコールで、未舗装の道路は粘土質の赤土がたちまちぬかるみ、波打つのです。

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