2020年5月10日日曜日

ゴルフができる有り難さ

 およそ2ヶ月ぶりにゴルフに行ってきた。
 エジプト政府のコロナ対策の一環として、スポーツ施設は原則閉鎖なのだが、少なからぬゴルフ場はホテルの敷地内に併設され、ホテル宿泊客や会員に限り開放されているという立て付けのようだ。何にせよ、運動不足解消にほとほと困っていた身に、まことに有難い。
 ホテル入館時には非接触タイプの検温、手指消毒。ゴルフ場でも電動カートの消毒、バンカーのレーキは置かれておらず、旗も抜かない。空港の手荷物保安検査などと同じで、面倒くさくて嫌なくせに、何もないとそれはそれで心配になるので、受け入れざるを得ないプラクティスだ。
 5月の空は晴天、気温は30度を超えているものの少し風もあり、爽やかだ。飛沫など気になるわけがない。他にラウンドする人の数はとても少ない。何より、毎日パソコンの前に張り付きっぱなしのリモート生活で疲れ切った両目に、フェアウェイの緑色がとても優しい。白かった肌はたちまちに焼け、水分補給の水が旨い。
 エジプトのコロナ感染は、右肩上がりを示している。航空便の運航停止、夜間外出禁止、レストランの閉鎖、イフタール(ラマダン期間中の断食明けの食事)は全て自宅で、といったロックダウンにほぼ近い対策を継続してなお、1日の新規症例数は400を超え、累計感染者数は9000人に達する。先日は禁を破って夜間に外出していた者が一晩で5000人も逮捕された。
 きちんとした食事と運動、それに十分な睡眠。心身の健康維持は、平素においては実はそれほど難しいことではないはずなのに、コロナのせいで行動が大きく制限され、その3つのうちのどれかが欠けてしまうと、たちまち人の生活は不安定になる。普段、人とのコミュニケーションをそれほど多くとっていないのに、コロナで独り家に篭ると、その僅かなコミュニケーションの不足が精神的なダメージとなってしまう。
 人は脆い。だから、お互いに助け合い、人に優しくありたい。一年に一度、花をつける一本のジャカランダの樹でさえ、大いに人を癒してくれているのだから。

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