2019年10月29日火曜日

日本でいちばん有名なエジプト人

 1984年ロス五輪の柔道無差別級で山下康裕選手と金メダルを争ったモハメド・ラシュワンさんが、日本の勲章を受章しました。準決勝で対戦相手のカニばさみを足にくらった山下選手が痛む片足を引きずって臨んだ決勝戦、ラシュワン選手は山下選手の痛めた足をあえて攻めることなく、辛くも銀メダルに甘んじました。でも、結果的にこの一戦で彼は、世界中の人々からフェアプレイ精神を讃えられるところとなりました。一定の年代以上の日本人であれば、あの決勝戦はいつまでも忘れることがないでしょう。
 ラシュワンさんは、おそらく日本人にとって最も有名なエジプト人のひとりであるに違いありません。リバプールで活躍するサッカーのモハメド・サラーと肩を並べるのではないか。
 そして、もちろんエジプト人の間でも、ラシュワンさんは永遠の国民的ヒーローのひとりであるわけです。
 エジプトがオリンピックに初参加した1912年から前回大会の2016年までの間に、エジプト人アスリートが獲得したメダルの数は通算で26個。そして、1964年の東京大会から2000年のシドニー大会までの10大会に限れば、その間に獲得したメダルは、ラシュワンさんの銀メダル唯一つなのです。この時代のメダルの価値がいかに大きいか、察することができます。
 63歳になったラシュワンさん、相変わらずの巨漢です。今は足を悪くしており、杖を手放せなくなっていますが、人懐っこい笑顔が印象的で、日本人の奥様と悠々自適の暮らしをしておられます。来年には日本で足の手術を受ける予定とのことです。いつまでもお元気でいて欲しいと思います。山下さんの言葉を借りれば、世界の柔道界にとって大切な人ですし、日本人の一人としてリスペクトしています。

2019年10月26日土曜日

企業戦士という名のオッサンたちだけのゴルフ合宿

 昨日と今日の1泊2日、カイロに駐在する企業戦士と呼ばれるオッサンばかり10名ほどの一団で、紅海沿いのリゾートホテルにゴルフ合宿に行ってきました。
 カイロから車で約1時間半、夕食/朝食込み、ゴルフ1ラウンド込みで2,000エジプト・ポンドを切ります(1万円ちょっと)。実に安い。2日目におかわりの18ホールを回るのでも、追加のグリーンフィは400ポンド=2,400円。
 思う存分ゴルフをして、みんなでワイワイと飯を食い、酒を飲み、バカ話に花を咲かせ、寝て、朝からまたゴルフ。
 日本経済の一端を背負って立つ海外進出企業戦士たちが、いっとき羽を休めて充電するわけです。しかも参加者全員が40代後半以上の単身赴任者。そりゃそうか。
  ドライビング・レンジには、無粋な人工芝のマットなどありません。天然の芝から練習できる、しかも打ち放題という贅沢さ。
プールを取り囲むように建てられた長屋コテージふうの客室。コスパは最高です。ちなみにこれは、iPhone11の夜景モード。強風の中でしたがこれだけ明るくきれいに撮れます。

2019年10月20日日曜日

感謝されているらしい(Boss's Day)

 先週水曜日の午後、エジプト人スタッフの一人が私の執務室に来て、「ちょっと、ツラ貸せ」と私に言う。実際は、それを30倍くらい丁寧にした感じだったが。
 なになにと彼らの大部屋へ。そして、いきなり大勢の拍手に迎えられ、テーブルにはケーキがセットされていた。
「。。。誕生日はとっくに過ぎてるけど?」
 目をぱちくりさせて困惑する私に返って来た答えは、International Boss's Day(上司の日)なんだそうだ。つまり、勤務3年目にして晴れて私は、部下たちから「良い上司」認定をされたということのようだ。
 私がエジプトに転勤してきたのが2017年の春。エジプトは、その前の年の秋、外貨融資源であるIMFに良い顔をするため、唐突に変動相場制と14%の付加価値税を導入した。その結果、エジプト・ポンドの価値は半減まで急降下、そして35%にも達するインフレに喘いでいた。つまり、輸入品や石油由来の製品の値段が、それまで10,000円だったものが27,000円になってしまったということを意味する。当然、現地スタッフの家計は大打撃を受け、一刻も早く彼らの生計費を回復する必要に迫られていた。
 でも、私の立場でこっそり言わせてもらえば、実はこういうときほど本社を説得しやすい状況は他にない。こちらの言い値プラスアルファのベースアップを認めてもらっただけでなく、それまで手当されていなかった医療保険の適用範囲を扶養親族まで広げるなどの各種待遇改善を、この際だからと全部申請して、全部獲得した。
 こうした変化を目の当たりにした部下たちから「神」扱いされるのも、理解できる。でも、自分でなければ絶対できなかったかというと、そうでもないんだ。巡り合わせってやつだ。そう彼らに言ったところで、謙遜も甚だしいと返されるのは解っているので、敢えて言わないだけでね。
 とはいえ、なんにせよ現地スタッフから感謝されていることが実感できて、嬉しくないはずもなく、まあ、少しは役に立つことができたのかなと、五十肩の痛みもそのときばかりは少し和らいだという、どこにでもあるお話でした。

2019年10月10日木曜日

おっさんのくせにと言われても

 iPhone11を買いました。iPhone6からの買い替えです。
 おっさんのくせに新しもん好きとか、どうせ使いこなせないのにミーハーなんだからと言われても構いません。
 実際、iPhone6でも日常生活に何も困っていませんでしたよ。けど、iOS13にバージョンアップできる対象機種からついに外れてしまった。もともと、OSを最新版にアップデートさえしておけば相当高いセキュリティが確保されるというのも、iPhoneが持つ大きなアドバンテージの一つだと思うので、それが担保されなくなるということなら、買い替えるしかないだろうということと、向こう3~4年使うことを考えると、今が買い時と思った次第。そして、これを使っている3~4年の間に還暦を迎えることもあって、色はProduction Redにしました。歳をとったからか、最近は赤が好きになってきました。
で、11を手に入れて、何か新しい使い方をするようになったかと言うと、そんなこたぁないわけです。お金の無駄?いえいえ、日本に帰ったら息子たちに教えてもらって、いろんなアプリを入れてみたいと目論んでいるんです。
 新型iPhoneのレビューなんか、世の中に溢れていますんで、おっさんがわざわざ解説するような愚挙には及びません。ただ、誰だか忘れましたがどこぞのIT評論家の書いた記事に、「iPhoneは今やインフラ」という記述がありました。この短いセンテンスが、今まで見聞きしたことがないくらいに上手い表現だなぁと、いたく感心しました。
 因みに、手元に残ったiPhone6は、職場のエジプト人スタッフのおじさんに乞われて格安で譲ってあげました。これまたいたく感謝されたので、それはそれでよかった。

2019年10月7日月曜日

やってもうた。人生2度目の勘違い

 先週金曜日は、かなり蒸し暑かったんです。だもんだから、ゴルフで大量の汗をかいた後に飲んだ酒が、細胞の隅々まで沁み込んじゃったんだと思います。夕方まで飲んで、かなり酔っぱらって家に帰りシャワーを浴びると、そのままバッタリと眠ってしまいました。
 で、目を覚ますと枕元の目覚ましの針は10時を指しています。うわぁ、久しぶりに結構よく寝たなぁ、流石に疲れてたんだなぁ。あれ?そういや、なんで女中が来てないんだろう。。。
 毎週土曜日の朝は、フィリピン人の女中が家に来て、掃除、洗濯、アイロンがけなどの家事を代行してくれているんですが、何かあったのだろうか。それならば電話のひとつもないのはおかしい。一週間分の洗濯物が溜まってるし、Yシャツのアイロンがけもしてもらわないと週明けからのローテーションがきつい。
 てなことで、女中のおばさんにTEL。このときに、カーテンを開けて外を見ればよかったんです。
 「なんで今日は来ないの?待ってんだけど」
 「サー、今日は金曜日ですけど。。。」
 「いやいや、昨日ゴルフに行って、その翌日なんだから、今日は土曜日に決まってんじゃん」
 「隣にいるハズバンドにも確かめましたが、今日は金曜日です。サー」
 「いや、だからさぁ」
 いくら噛み砕いて話をしても、私の英語が相手に通じません。そりゃそうなんです。だって、まだ金曜日の夜10時なのですから。
 そのことに気がついたのは、短くない電話を終えて、なんだかんだぐだぐだした後に、パソコンを立ち上げたとき。PC画面の日付はたしかに金曜日。あれ?と狐につままれたような気持ちでカーテンを開けたら、外は真っ暗。もうパニックです。
 もう夜の11時だけど、やむなく再び女中にTEL。ひたすら勘違いを謝ったら、笑って赦してくれましたとさ。
 人生おそらく二度目の勘違い。一度目がどんなシチュエーションだったかは最早ちゃんと覚えていませんけど、たしかそのときは他の人に迷惑はかけなかったと思われます。今回の件、反省はしてないけど、ちょっとショックでした。ちゃんちゃん。

2019年10月1日火曜日

B級映画が大好き

 食欲の秋、芸術の秋、ツーリングの秋、いろんな楽しみ方がある秋の夜長。ですが、ここエジプトではそれも限られています。だから私は、家でせっせとB級映画を観るのがこよなく好きなのです。
 特に洋画。中でも、アクションやミステリーが良い。誤解のないようにリスペクトを込めて言えば、B級といっても、監督も出演者も実力派ぞろいなのに、なぜか大ヒットはしなかったという類の作品が良いですね。隠れ家的な美味しいレストランを探し当てるみたいな感じでしょうか。そんな優れたB級作品の中から、お勧めの洋画を3本紹介します。
 1本目は、これ。「Live from Bagdad」。湾岸戦争のきっかけとなった、1990年のイラクによるクウェート侵攻が作品の舞台。報道各社が一斉に退避する中で、唯一現場に残ったCNNのチームが命がけで撮った映像を世界に配信するお話です。中年以上の人なら、「あー、TVのニュースで観たわ、この映像」と、思い出すはずです。
  2本目は、これ。「Shooter」。腕っこきのスナイパーだった元海兵隊の軍人が、協力を求めてきたはずの政府の陰謀によって、大統領暗殺未遂の犯人に仕立てられてしまうというお話。窮地をひっくり返すラストの展開は、スカッとします。
 そして3本目が、これ。「The Kingdom」。サウジアラビアで外国人居住区をターゲットとした自爆テロが発生、現地調査に乗り込んだ4名のFBI捜査官チームが、テロ首謀者一味と思いがけぬ銃撃戦になってしまうというもの。撃たれたテロリストの長老が死の直前に孫に耳打ちした最後の台詞が、テロとの戦いのすべてを物語ります。
まあ以上の3本とも、とにかく無数の銃弾、砲弾が飛び交います。男の子は、いくつになっても好きなんですね、こういうタフガイが活躍する映画が。もちろん軍事オタクにも充分に満足いただけるんではないだろうか。