2011年10月12日水曜日

どういう時代?

 先日、本田技研の偉い人が記者懇で語ったことが、ちょっとした話題になっています。

http://response.jp/article/2011/10/10/163565.html

 高回転・高出力型の大型バイクについて曰く、『乗りにくいものを造ってもしょうがない。。。そんなものは街中で楽しいはずも無いし、そういう時代じゃない。。。もうちょっと本当に常用域のところで楽しいものを造ろうよと。』

 。。。オヂさん、ここまでは大賛成です。スピリッツも感じました。

 曰く、『ハーレーやBMW、ドゥカティみたいに他の人に見せる盆栽のようなものはホンダには無理。だから少なくとも実用品というか、乗ってどうのというのは絶対負けないようにしろと、見せてどうとか飾ってどうとかという所はあきらめてもいいから、乗ってどうだけちゃんとやれと社内には言っている。』

 。。。我が国が世界に誇るリーディング・メーカーの幹部の言葉としては、正直なところ如何なものかと思いました。
 先ず、他社の製品を「盆栽のようなもの」と決めつけたり、デザイン勝負をはなから諦めたりする姿勢は、それが例え良い意味で言ったものだったとしても、決して褒められたものではないと思います。
 少なくとも、BMWやドゥカは、優れた素材や構造を採用することによって結果的に導かれるデザインの秀逸性、言ってみれば機能美の極みがその魅力の一つであることは、幅広いライダーが理解しているのではないでしょうか。仮に、悪意はなかったとしても、見た目に美しいことのみに価値があって、それに高い値札が付いているというような意味が少しでも言葉の裏に込められているとすれば、ホンダという企業の品格を落としかねない暴言とのそしりは免れないと危惧しました。

 もちろん一番の真意は、乗って楽しいものを作りたいとするシンプルな発想にあると信じたいところです。そして、もしそうであるならば、価値観の多様性が叫ばれる現代にあって、高性能車を「そんな時代じゃない」と自ら切り捨てるんじゃなく、また、「常用域でちゃんと楽しい」という曖昧なコンセプトでもなくて、こういうバイクでこういうエンジョイ・ライフの方法もあるよと、もっと具体的でワクワクするような提案を示して欲しいのです。
 「○○○な時代」の○○○の中に入る新しい(若しくは普遍的な)価値観を世に提案し、人にとってバイクが良質のツールであり続けるよう、バイクを取り込んだ生活スタイルを牽引するメーカーであって欲しいと、そう願っているのです。

2 件のコメント:

迷走 さんのコメント...

みやっちさん、拍手です。
私もこの発言には様々な気持ちが渦巻き、
どう記事にまとめようか迷っていました。
HONDAの生まれ故郷である浜松は偉人が多いのですが、
かつての経営者たちの言葉は非常にシンプルでありながら
心強く胸に響いてくるものばかりでした。
経営のトップに近いリーダーたる人は
間違っても小賢しいなどと思われることの無い
真摯な発言を心掛けて欲しいものです。

みやっち さんのコメント...

>迷走さん
共感いただき心強いです。
真摯さ、謙虚さという日本人の持つ美徳を忘れては
ならない一方、グローバルな競争社会では、主張や
批判が弱ければ認められないのも事実です。ただ、
その中でも、毅然とした爽やかな「立ち振る舞い」
が大切であることは、日本も世界も変わりはないと
思います。