2022年9月21日水曜日

「T」を制する者は

  アメリカ人の、いわゆるロレロレ英語は、耳に慣れないうちは聴き取りに苦労する人も多いだろう。ロレロレの代表格はやっぱり巻き舌の象徴とも言える「R」なんだろうが、実は聴き取りの難易度を高めているもう一つの要素は「T」ではないかと思う。

 ゴルフTV中継の解説でふんだんに英語を取り入れてくることでお馴染みの戸張捷をわざわざ引用するまでもなかろうが、20=Twentyはアメリカ発音ではトゥエニー(トウェンティに非ず)で、ティがニーに変わっているが、まあこれは誰でも聞いたことがあろう。では、これはどうだ。Internetを発音に忠実に表記すれば、イナネ(インターネットに非ず)だ。つまり、今度はタがナに変わっている。これだけ聞くと、ああ「な」行に変化するのね、と思いがちだが、変化はこれだけじゃない。小型の狼のような野犬Coyoteは、なんとカヨーリ(コヨーテに非ず)だ。テがリにまで変化してしまう。段違いも甚だしい。(ただし、語尾が「い」段に変化するのはTの場合だけでなく、Karaoke=キャリオキなどにも見られる。)さらには、日本にもある大型卸しスーパーのCostcoはカスコ(コストコに非ず)だ。つまり、しまいにはTを発音すらしない。ゴルフの話題でお喋りしているときに、唐突に「カヨーリがさあ」と言われても、それが山あいのゴルフ場をうろつくコヨーテのことだとはすぐに解るまい。

 つまり、アメリカ英語の初期の段階では、「T」を制する者が会話をスムースに運ぶことができるような気がする。うん、あくまで気がするだけだ。

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