2021年5月27日木曜日

海外生活が嫌になっても恥じることはないよ(河本結プロ)

  女子プロゴルファーで河本結という選手をご存知だろうか。愛媛県出身の22歳。日体大を卒業しプロ転校後まもなく国内で初優勝すると、夢だった米ツアーのクオリファイを通って昨年からUSLPGAを主戦場としていた。明るくハキハキしていて、キレの良いスィングをする。髪を結ぶリボンがトレードマークの魅力的なゴルファーだ。

 米ツアー参戦から1年ちょっとというタイミングで突然の撤退理由は、「海外の生活環境になじむことが難しいと感じたから。海外での生活は自分の思い描いていた世界とは違い、想像以上にストレスを感じました」さらに「ゴルフに対して悩むというよりは、移動はもちろん、生活環境や当たり前なことが日本と違うこととか、そういう悩みに対して向き合っていた」「甘かったし、超カッコ悪いけど決めました」と吐露している。

 いわゆる「パリ症候群」(wikipedia参照)と呼ばれる精神状態ではないかと推測される。早い話、憧れや幻想を抱いて渡航したものの、いざそこで生活をしてみた結果、ままならない厳しい現実とのギャップに苛まれて鬱になる状態だ。プロとはいえ、若干22歳の若い女子。たとえコーチやチームの人たちが周囲にいたとしても、所詮は職場の同僚。孤独を感じる場面は多かったに違いない。

 翻って、このオジさんは、かれこれ30年近くに及ぶ海外駐在歴を重ねてきている。直近で日本を離れたのは12年以上前のことだ。30年の海外生活を通じて、海外に向いている人と向いていない人の双方をたくさん見てきた。その中で、一般論として海外生活を長持ちさせる方法は、ざっくりと二つあると思っている。一つは、友だちを作ること。もう一つは鈍感力。

 なあんだそんなことかと思われるかもしれない。が、突き詰めるとこの二つに絞られるというのが持論なんです。まず、友だちは、職場の外に作らないと意味がない。職場の同僚だと、酒を飲んでもスポーツを共にしても、ついつい仕事の話になってしまう。つまり、年がら年中、頭の中が仕事のことばかりになってしまう。これではストレス解消にならないんです。しかも、同じ職場ということは、同じ組織のバックアップを受けて同じレベルの生活が成立している同じ立場にいるので、一人駐在など自分と異なる環境で頑張っている人の苦労や工夫を知ることができない。住む世界も考え方も狭くなってしまうのです。

 鈍感力というのは、生活様式、言語、文化、社会経済インフラ、サービスなどありとあらゆる要素がこちらの期待通りには全くいかないことを、いかに鈍感にやり過ごしてストレスを蓄積しないかという、自分自身の心の操縦方法のことを指します。「現地の生活のし易さは最初から期待しない。物事がうまく進まないのが当たり前」というふうに腹を括ったスタンスが取れれば、随分と気持ちは楽になるものです。

 でも河本結ちゃん、心に無理を重ねて自分を壊してしまう前に、勇気ある撤退を決意したのは立派ですよ。決してカッコ悪いとか、恥ずかしいとか思わないでください。日本が便利すぎるのです。世界の中で日本が突出して良いところすぎるのですよ。22歳の今のあなたは、とても感受性の高い純粋な人なんでしょう。そして、持てる力は全てゴルフにだけ向けたかったのでしょう。そんな真っ直ぐなあなたには海外生活は厳しいチャレンジだったかもしれないけど、もう少し大人になって、いろいろと良い意味でズル賢くなってからもう一度チャレンジすることだって十分できるのだから、何も恥じることはありません。あなたは十分にカッコ良い。応援しています。

2021年5月23日日曜日

大きくなれよ

  まあ、結局こういうことになるのです。チビ猫たちの顔を見ていたら、仕事の帰りがけに餌のカリカリ(ただし子猫用)を買ってきて、毎朝庭のトレイに入れてやることなんざ、何の面倒でもないわけです。母猫に見守られながら無心で餌を食べるチビ猫3匹。ちっこいうちは世話してあげるから、その間にせいぜい大きくなれよ。


2021年5月21日金曜日

どうか天国で安らかに

  職場の同僚であるエジプト人スタッフの一人が今朝、コロナで夭逝した。ICUでの懸命の治療も虚しく。享年53歳。まだ小中学生の3人の子供を抱える良きパパだった。

 ムスリムである彼は、今晩、審判にかけられる。礼拝などの善行を積んだ数と、教えに反く悪行を犯した数を天秤にかけられるのだ。ムスリムは死後、審判にかけられるその時まで自身が天国に行けるか地獄に落とされるか知る術を持たない。唯一、ストレートに天国に行くことができる切符は、ジハード(聖戦)のみとされる。だからテロが後を絶たない。

 亡くなった彼は、無口で実直な、職人気質の男だった。まだ小中学生の3人の子供を抱える働き盛りだ。持病を抱える子供を育て上げるために、一生懸命働いてくれた。良い親父なんだろう。さぞ無念だったろうに。でも、100kgをゆうに超える巨漢でもあったので、きっと成人病の一つや二つは持っていたんだろう。どうか天国で安らかに、家族を見守って欲しい。合掌。



2021年5月16日日曜日

うちの子をよろしくと言われても。。。

  去年、一昨年と、家の庭に生まれたばかりの子猫を連れてやってきた母猫が、3年連続となる今年もまた、3匹の赤ちゃん猫を連れて現れた。白っぽいのと、薄茶と、その混ざったの。母猫には警戒感は微塵も感じられず、むしろ「先週生まれたうちの子です。かわいいでしょ。エサをあげたいならどうぞ」とでも言っているような表情で。

 そして、昨日は自分ちみたいに庭でくつろいで昼寝。かと思えば今朝は子猫を残して母猫はどこかへ行ってしまい、姿が見えない。どこか別の家で餌にありついているのか。おいおい、子猫を放棄するようなことは本能的にないとは思うけど、「うちの子をよろしく」って言われても困るんだよね。かといって見殺しにもできず、仕事の帰りにエサ買いに行くのかなぁ。面倒くさいなぁ、もう。



2021年5月12日水曜日

ラマダン終了とて手放しで喜んでもいられず

 明日から、ラマダン終了の大祭であるイード(Eid al-Fitr)の連休に入ります。厳密には、イスラムの権威筋が今夜の月の満ち欠けの塩梅を見て、明日の日中も断食を続けるべきか、明日朝から飲み食いしても良いかを決めるんだそうです。

 そして、断食明けを待ち侘びたムスリムたちがお祭り気分で一斉に昼間の街に繰り出すのですから、コロナの感染爆発が起こるんではないかという不安が頭をもたげます。実際、今日の夕方には既に帰宅を急ぐ多くの人々が渋滞を起こしていたし、道ゆく人々の多くがマスクを着用していませんでした。

 ちょっと前までは、せっかくの連休なので、こないだ商船が座礁したスエズ運河でも見に行くかと考えていたのですけど、無警戒なエジプト人たちを見ていると、何やらこのタイミングが感染の重要な分岐点、つまり至る所で感染リスクが相当高まる数日間になるのではないかと思い直し、大人しくしていることに決めました。

 公式発表によればエジプトの新規感染者数は一日あたり1,000人強というペースがしばらく続いています。ただし、あまりにも検査数が少ないため、実際の感染者はこの5倍以上にのぼるであろうと、まことしやかに伝えられています。何だかよくわからない中国産やロシア産のワクチンなど焦って接種したくないし、今は行動を自重するしかないんでしょうね。


2021年5月4日火曜日

何度目のジャカランダか

  中東の断食月ラマダンも残り半分を切った。コプト教のイースターと共に5連休が終わって今日からお仕事再開。

 5連休の間に、中一日の休息を挟んでゴルフを4ラウンド。日中は40度に迫る暑さだが、仲間達もみんな日に焼けて、心地よい疲労が残る。昨日の18番ホール後、テラス席のテーブルを囲んでビールで乾杯。我々日本人にはラマダンは関係ないので、昼間っから飲み食いすることに申し訳ない気持ちはちょびっとしかない。うん、ちょびっとは申し訳ないと思っているんです。

 そして、目をやればジャカランダの木が鮮やかな薄紫色の花を誇らしげに咲かせていた。1週間くらいですべての花びらを落としてしまうこの花の美しさ儚さは、日本人にとって桜を連想させる。もうそんな季節なんだなあ、エジプトに来て何度目のジャカランダだろう。5度目かな。すっかり長居してしまっているなぁ。

 今晩は、関係先のエジプト人とイフタール(断食明けの食事)を共にする。相手は高齢の好々爺だが、ムスリムのくせに酒を嗜む。まあ酒飲むムスリムも結構いるんです。なので、貴重な日本のウィスキーを持ち込んで、飲ませてあげることにしよう。「知多」という銘柄のウィスキーがたまに手に入る。甘口で、旨い。

2021年5月2日日曜日

暇だからメーデーについて聞きかじる

  5月1日、メーデーである。週末にかかっているとは言え、振替休日もない。労働者の日だから仕事は休むし、そうでなくてもラマダン中の運転手を働かせるのもちょっと気が引けるので今日はお家にこもっていた。日本も連休に入ったので、メールなども全く入ってこないから、極めて静かな一日だ。

 ときに、緊急事態を電話や無線通信で知らせるときに冒頭で「メーデー」と唱えることは、映画などでなんとなく見知っていたが、なんでメーデーなのかはずっと謎のまま放置してきた。ので、調べてみた。簡単だった。フランス語で「メデ(m'aider)=助けて」がそれだ。それを、英語圏の人間がMay dayのように発音しているだけだった。ちなみに、緊急事態を告げる際は、メーデーを3回唱えることと決まっているようだ。聞き間違え等が起こらないよう、そうプロトコルで定められているそうだが、知らなかった。

 あれ?それはいいんだが、それじゃあS.O.Sとメーデー何が違うのだろう。そもそもSOSって何の略だ?という疑問にあたる。だから調べてみた。簡単だった。船舶において救助を求める際のモールス信号として国際会議で世界的に統一が図られた符号がSOSなのだ。全く知識がないわけだが、記号表記では「・・・ーーー・・・」となるんだそうな。それはいいんだが、いったい何の略なのかという疑問が残る。しかし、これまた信号の受けてが間違わないようにと定められた符号なので、実は意味はないみたい。ちなみに日本では「危急」という訳され方がされていたようだ。ピンクレディが乙女のピンチを歌ったのは随分と昔の話だが、SOSというモールス信号自体が既に廃止されていたというのも知らなかった。おうち時間で暇な時こそ、今までスルーしてきたトリビア的な小さな謎を解く良いチャンスだなと思いました。ちゃんちゃん。