2021年4月23日金曜日

作るの?作らないの?

「接着剤も塗料も全くない状況でも作れるプラモって言ったら、ガンプラしかないでしょ。」

 日本の友人からそんな助言をいただきましたが、そんなこたぁ分かってるんです。しかも、当たり前ですけどエジプトにガンプラなんか売ってないんです。

 でもなぁ、とか思って、本棚の上で埃をかぶっている僅かばかりの積みプラを改めて見てみると、こんなものがありました。

 BMWのZ1という車は、1987年のフランクフルト・モーターショーで発表され、その後、約3年くらいの間に僅か8000台だけ生産された幻みたいな車です。2ドアのいわゆるロードスターで、ボンネット下には2500cc直6エンジンを積んでいます。なんと言っても特徴的なのは、開かないドア。開く代わりに下がってボディの中に収納されるという特殊な構造が話題を呼んだようです。
 キットはレベル製。そうでなくても洋モノは合いが酷く悪かったり、バリやヒケだらけだったりと、難易度が相当に高い訳で、だから今まで手をつけられずに生き残っていたのです。部品点数はそれほど多くないようですが、パーツの成形色は薄いグレーと濃いグレー、それにメッキパーツと透明パーツだけ。箱絵の実車は8000台のうち133台しか生産されなかったという薄い黄色、内装はタンの皮張りを思わせます。
 これを、塗装なしで組むことにどれだけの意味があるというのか。いや、そういうことではなくて、少しでも楽しむことができるのなら、作ること自体に大いに価値を見出せるのではないか。矛盾する思いが心の中で交錯します。さて、私はこれを作るのでしょうか。




2021年4月16日金曜日

プラモ再開。。。に大きな壁(涙)

  コロナ禍でいわゆる「おうち時間」が増えているのがその理由なのかもしれないが、プラモデル作りが再び流行っているような気がする。ハセガワやフジミといった国産の老舗メーカーも元気に新製品を発売しているし、エヴァンゲリオンの影響もあってガンプラの人々も気を吐いているように見える。

 Youtube上には、数多のモデラーたちが素晴らしい製作過程を披露している。それらを目にする度に、もうこの種の発信は動画でなければ訴求力が全くなくなってしまったことを、嫌でも確信するわけです。きっと、動画を上げること自体は、技術的にはそれほど難しいことではないのだろう。しかし、機材、セッティング、通信環境、セキュリティ対策など、クリアすべきハードルがあまりに多く、エジプトにいる間にそれらをある程度のレベルで満足させることはおそらく叶わないだろう。そういう意味では、すっかり時代遅れのモデラーを自覚しなければならない。

 とはいえ、純粋にプラモを作りたい熱は約4年のブランクを置いてなお一向に冷めることはない。どころか、世のモデラーたちの奮闘ぶりを見るにつけ、再び老眼に鞭打ってやってみたいという気持ちを抑えることが難しくなってきた。

 何も予定がない金曜日、棚の奥の方に仕舞い込まれていた段ボール箱を開けてみた。宝箱かタイムカプセルを開けるような気分だ。果たして、工作マット、ナイフ、ヤスリ、ピンバイス、ピンセット、サンドペーパー、マスキングテープ、クリップ、筆などの工具類はほとんど揃っている。そして、プラ板、プラ棒、洋白線、各種ケーブル、ネジ、デカールなどの素材もひと通りある。

 なんだこれならすぐにでも再開できるんじゃないかと小躍りして喜んだのも束の間、接着剤と塗料が一切ない。セメントタイプも流し込みタイプも、それにあれだけ買い集めたアクリル塗料もエナメル塗料も、どれひとつ見当たらない。

 しばしフリーズした後に、思い出してしまいました。ローマから転勤してきた際、引っ越し荷物に強い可燃性のものを入れることはできないと業者から言われて、泣く泣く全部処分してきたのだった。接着剤と塗料がなければ、プラモデルは作れません。いや、塗料はなくても組むことだけならギリギリできるのかもしれないが、そんなレベルで満足できるはずがない。

 すがる思いで机の引き出しを開けると、百均の使い切り瞬間接着剤ミニというのが2つ残っていた。これで戦えるのか。戦えと言うのだろうか(誰が?)。


2021年4月14日水曜日

ラマダン中でも頑張れサラー

  中東の世界では昨日からラマダンに入った。ムスリムの人々は、陽が上がっている間は一切の飲み食いや喫煙をせず、預言者ムハンマドが辿った砂漠での苦行を追体験する。そして日の入りと共にお祈りを捧げ、ようやく水と食事にありつけるということだ。これが約1ヶ月続く。

 さて、エジプト人にとっての国民的ヒーローといえば、イングランド一部リーグ、リバプールで大活躍中のモハメド・サラーだ。ASローマから移籍後、超一流のストライカーぶりをいかんなく発揮し、今シーズンもリーグ得点王をひた走っている。そして、今夜はCLの舞台でレアル・マドリッドとの大一番を控えている。最近、もじゃもじゃのアフロを短く刈り込んで、ようやく大人っぽくなったね。でもオジさんは以前の方が好きかな。

 敬虔なムスリムであるサラーは、もちろん教えに従い断食を行っていることだろう。だが幸いなことに、ホームで行われる今日のマッチは夜だ。英国の今日の日の入り時刻は19:57。21時のキックオフまで1時間あるので、おそらく練習の直前に何がしかの水分と少量の食べ物を口にすることはできるだろう。

 頑張れサラー。そして、同じASローマから移籍して再びチームメイトになったGKのアリソンも頑張れ〜。



2021年4月12日月曜日

日本人であることの誇り(マスターズ)

  松山英樹選手に世界中から寄せられる祝福の影で、この偉大なプレイヤーのバッグを担いだ早藤キャディの行動が外国メディアから注目されている。

 18番グリーンで優勝のかかったパッティングを松山選手が沈めた後、フラッグを戻してグリーンを後にする前に、帽子を脱ぎコースに深々と一礼する早藤キャディの姿がありました。この行動に、感嘆と感動の声が次々と上がっているんです。
 礼に始まり礼に終わる日本人の精神が、武道やゴルフだけでなく他の様々なスポーツでも尊重されているのは、日本人ならみんな知っています。神聖な競技の場に対して、また、大会の運営関係者、コースを素晴らしいコンディションに維持してくれているグリーンキーパーや、応援してくれたギャラリーに対して、礼を失してはならないという思いがあるのでしょう。私たちアマチュア・ゴルファーも大いに見習いたい。
 10年前、20年前までは、対等なビジネスのシーンですら頭を下げお辞儀する日本人の挨拶は、揶揄され、なんなら嘲笑を買うことすらありました。職場の先輩からはその昔、「外国人と挨拶する時にお辞儀するな」と教わりました。
 でも、今は違います。目に見える相手にも、目に見えないものに対しても、敬意を表すことができる日本人であることに、誇りを覚えます。

俺たちのヒデキがやってくれた(マスターズ)

  松山英樹選手、日本人初のマスターズ優勝おめでとう。

 生中継なんて望むべくもないエジプトで、ユーチューバーのLIVE中継を観ながら、そして最後の18番ホールは日本の友人にLINEで日本のテレビ画面を映してもらって、かろうじて優勝の瞬間をリアルタイムで祝うことができました。

 フィニッシング・ホールのセカンドショットを打ち終えてグリーンに向かう松山を、大歓声のスタンディング・オベーションで迎えてくれた米国人パトロン(ギャラリー)たちの姿を見て、ぐっと胸に来るものがありました。彼はアメリカでも人気があるんです。

 海外で頑張る日本人が活躍し、現地の人たちから賞賛を受ける。職業は違うけど、どこか共通するものを勝手に感じていて、それが何より嬉しい。日本ならばあらゆるメディアが大騒ぎで報道するんだろうけど、こちらはこちらでそういうのが何もない代わりに、静かに、でもじんわりと喜びを味わうことができます。ただ今エジプトは深夜1時過ぎ。独りでウィスキー飲んで泣いてます。ヒデキ、おめでとう!



2021年4月6日火曜日

嬉しい人は大喜びだろう(ホンダDAX125)

  四月に入ったからといって、ウキウキするようなニュースが聞こえてくることもない。これ以上コロナ禍が続くと、本当に気が病んでしまいそうだと心配になるのは、オジさん世代ばかりではないだろう。

 そんな中、モンキー・ゴリラなどと同じカブ系のエンジンを積んだ往年の名車、少年たち御用達の原付だったホンダDAXが、125ccになってカムバックするらしい。雑誌のスクープ記事では、来年春ころに発売とある。

 ダックスという名前から連想されるとおり、モンキーに比べると少し胴長だ。つまりホイールベースがちょっと長いので、太いタイヤと相まって、直進安定性の向上に一役買っている。まあ早い話、ゆったりした姿勢で長時間でも乗っていられるというわけだ。ただ、なぜかマフラーはスクランブラーみたいなアップ・タイプが選択されているのは謎だ。

 それにしても、このところ125ccのいわゆる原付二種が元気だ。もちろん排ガス規制のためであろうが、原付二種の免許が緩和されるのではないかという期待も膨らむ。そうなれば、車の免許しか持っていない往年の少年たち=今のオッサンたちが、ここぞとばかりに125c化したモンキーやダックスを買うだろう。メーカーもそれを見越しているのではないか、何なら当局と水面下で手を握っているのではないかと、つい穿った見方までしてしまう。まあ、たいへん喜ばしいことなので、仮にそうであっても結構だ。モンキーとダックスでつるんでツーリングなんて、想像しただけでも楽しそうではないか。