イタリアでは明後日の4日(日)、憲法改正の是非を問う国民投票が行われます。
41歳という若いレンツィ首相は、国民がNOの審判を下すようであれば辞任するとほのめかしていて、まさに政治生命を投げ打った大きな賭けに出た訳です。
憲法改正の中身は、ざっくり言うと、日本の衆議院に当たる上院議会による内閣不信任案提出の権限をなくし、政治の安定化を図るというもの。
就任当初はその若さと、大好きな自転車(実は安倍総理からシマノの自転車をプレゼントされました。)で議会に通勤するといった親しみ易さから人々の期待を集め、一定の支持率があったものの、その後に打ち出した政策は狙ったほどの成果が上がらず、国民に実利をもらたすには至っていないとして不満が高まっていました。
もっとも、この間、南部の海岸に毎日大量に流れ着くシリア難民の受け入れや、二度にわたる震災の復興のために巨額の予算を必要としたことが、経済の底上げにブレーキをかけたのは確かで、そこは政治家としても不運だったと言えるでしょう。そして、日本の自民党のように与党が圧倒的多数の議席を持たず、野党の台頭によりねじれが生じている中で、来年はG7の議長としてサミットを主催しなければなりません。そんな焦りが、無謀とも思える賭けにのめり込んでいった理由なのかもしれません。
しかし、いくら政治の安定化がイタリアにとって長年の懸案であるとはいえ、高い失業率や教育改革といった国民生活に直結したテーマからは程遠く、もっと他にやることがあるでしょうに、保身あるいは党利党略と受け取られても仕方がありません。
世の中は、英国のEU離脱やトランプ次期大統領の選出にみられるように、保護主義・排他主義といった内向きの思考が主流になりつつあります。今回の賭けも、下馬評どおりNOという結果が出て、政権が自滅してしまうのかもしれません。
なんて、たまには大真面目なことも書くのでした。
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