この人の発言が、波紋を呼んでいますね。
本田選手が日本人記者に語ったことの真意がイタリア人ジャーナリストに正確に伝わらなかったのか、それともイタリア人ジャーナリストが「おいしい」ところだけを切り取って報じたのか、実はそのへんの真相がどちらであってもそう違わないのだろうと思います。
賛否両論まっぷたつというよりは、地元イタリアではむしろ彼に批判的な論調が目立ちます。まさに正論、よくぞ言ってくれたと評価する声も一部には見られる一方で、一介の選手が公に経営陣や監督に対する苦言を呈するのは、立場をわきまえない不適切な行為だと批難する声が最も多いように思われます。また同じくらいに、ACミランの10番を背負う選手として相応しい活躍を全くしていない彼が何を言うかという厳しい指摘も多い。
あくまで私の個人的な感想と前置きさせていただいた上で、敢えて別の角度から本田選手の発言を考えてみると、彼はサッカーにおけるイタリア人のプライドの高さ(尊厳と言い換えても良い)を過小評価したのではないかと思います。
つまり、今回の本田選手の発言は、ACミランのファンだけでなく、ローマだろうがユベントスだろうが、とにかく老若男女を問わずイタリア人が日々の暮らしの中でこよなく愛し、守りぬいてきたものに対するプライドを傷つけてしまったのではないかと。いくらミランが低迷を続けようとも、1899年創設という長い伝統と栄光の歴史を持つセリエのビッグチームであることに変わりはないのです。世界に誇るイタリアン・サッカーの1丁目1番地なのです。
本田選手が発した言葉は確かに経営陣や監督に向けられたものだったのでしょう。しかし、「金で解決せよ」とも聞こえる彼の発言を耳にした経営陣も、イタリア人ジャーナリストたちも、イタリアのサッカーファンまでもが、あたかも皆んなで大切にしてきたイタリアン・サッカーを丸ごとなじられたような違和感を覚えたのではないだろうか。だからこその憤慨であり、しかも、サポーターからの信頼と愛情を未だ掴みきれていない日本のサムライに、後ろからばっさりとやられてしまったのですから、「一介の選手が。。。」の批難につながるのも無理もない、そう思えてならないのです。
高額の報酬に応えるプロ・スポーツ選手として、或いはACミランの10番として、それに相応しい数のゴールを決めることが最も重要なのは言を俟ちません(本田選手にはそれが出来ていませんけど)。でも、イタリアで彼を応援する一人の日本人としては、それ以上に本田選手が地元サポーターやジャーナリストたちから愛される存在になることの方が嬉しいのです。
フォルツァ(頑張れ)ホンダ!!!
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