だいたい3年くらいの周期で転勤を繰り返すオヂさんとしては、おそらくこの夏がparisで迎える最後の夏になるだろうからと、少しは街中をあちこち歩いてみようと思い始めています。写真は、天気の良い週末に散歩したシテ島の地下鉄入り口。ノートルダム寺院のすぐ脇です。アールヌーボー調の看板がおしゃれです。
また、昨日は、歩けば歩くほどじわ~っと味が出てくるマレ地区(パリ4区)のレストランで、フレンチと洒落込んでみました。
星こそ付いてませんが、ドーム状の高い天井が特徴的な雰囲気の良いレストランでした。1700年代の建築物で、元は銀行だったのを、現在のオーナーが買い取って改装したのだと、黒服の可愛らしいパリジェンヌが建物の由来を解説してくれました。アペリティフはグラスのシャンパン、アミューズ(付け出し)には小さな器でガスパチョ(冷たいトマトスープ)が出てきました。古城で有名なローヌ地方産の辛口の白ワイン(ピューイ・フュメ)を選び、前菜にはフォアグラのテリーヌに甘い果物のジャムを添えて、メインはシンプルな鯛のソテー。皮がぱりっと香ばしい。デザートの代わりにチーズ3種の小皿とボルドーの赤をグラスで。ワインを除けばこれで50ユーロくらいですから、ひととおりコースを楽しむ夕食としては、リーズナブルです。
翻って、なんだかんだで海外生活も早20年、これまで欧州4カ国、アフリカ2カ国の都合6カ国で生活してきた中で、parisという過去に何度も訪れた街に暮らすこと自体、オヂさんにとって全く違和感はありません。拍子抜けするくらいすんなりとヨーロッパの生活に戻ってきたというのが実感で、スペシャルなことだとは感じませんでした。自分で考える以上に、欧州の生活環境に慣れてしまっていたのでしょう。苦手意識が強かったフランス語も、ちょっとばかり耳が慣れてきたというのもありますし、はたまた歳を重ねて感受性が弱くなった(鈍感になった)というのもあるのかもしれません。
とは言え、客観的に考えてみれば、parisは日本人にとって永遠の憧れの街、華の都であって、一生のうちほんのわずかの期間だけでもparisに暮らしたことがあるというのは、やはり人生に彩を添えるものであるでしょうから、相当に幸運なことなのだと自覚しなければなりません。就職するまで飛行機にすら乗ったことがなかった我が幼少期には、想像もつかない状況であることは間違いないのですから。
実際、コンコルド広場から凱旋門に向かってシャンゼリゼ通りを車で上っていく(ツール・ド・フランスの映像では分かりにくいかもしれませんが、ず~っと坂道なのです。)景色、色あせない石造りの建物が軒を連ねる街並み、セーヌ川沿いを犬と散歩する老夫婦、珍しい野菜や生牡蠣が並ぶ週末のマルシェ、歩道にテーブルを並べたカフェ。。。parisの素敵な部分を挙げれば、キリがありません。(実は生活するとなると、ネガティブな部分も同じくらいあったりするのですが。)
という訳で、せっかくparisに暮らす幸運に恵まれたのですから、心残りしないよう、目と胃袋に、もっともっとparisを詰め込むことを心がけてみようと思う今日この頃なのです。
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