2013年6月20日木曜日

カスバ(実地編)

  アルジェリア出張からローマに戻ってきました。
 地中海を超えて北上したはずなのに、ローマは日中の気温38℃。アルジェより暑いのです。
 さて、唄にもなった彼の地のカスバは、小高い丘の斜面に小さな家屋がびっしりと密集した地区を指します。すごく良く言えば旧市街、現実を最も忠実に表現する言葉だと、貧民街です。
 見たことはありませんが、戦後のドヤ街というのはこんな感じだったのでしょうか。現地の人でも、いったいこの地区に何人が住んでいるのか、何軒の店があるのか、誰も正確には解りません。地面にはゴミが容赦なく散乱し、細い路地には車など入り込む余地はありません。

上の2枚は、いずれもカスバの一番下の入り口にあたる表通りから見たところです。この奥が登り斜面になっていて、どんどん建物が小さく、密集していきます。
 残念ながら、外国人がカスバに入ることは事実上できません。丘の一番上にあるカスバ警察署に警察官のエスコート(ボディガード)を依頼しない限り、単独でカスバに入っていくことは推奨されていません。
 実はこの写真も、防弾仕様のランクルの車内から撮影しています。少し青っぽく映っているのはそのせいで、窓ガラスはAK47ライフルなら3連射くらいまでは大丈夫とのこと。そんな分厚い遮断物のおかげで、車内から見る外の景色は、映画を観ているようです。

それにしてもアルジェという街、海を眼下に臨む目抜き通り周辺には、旧宗主国フランスの影響を色濃く反映した立派な建物がずらりと並びます。
 装飾豊かなファサード、海の色を思わせるブルーに統一された窓枠、小さなテラスを囲う凝ったデザインの手すりなど、往年はきっと息をのむくらい美しい街並みだったのでしょう。
 今やその栄華はすっかり色褪せ、壊れ、瓦礫と化しつつあります。産油国という理由だけで、電気もガソリンも超低価格、商売人には補助金も出る。底辺の所得者層も膨大な失業者も、食いつなぐことだけはできてしまう、でも、だから働かない。そんな負のスパイラルは、時間をかけて街を崩壊させてしまう。カスバの現実です。

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