ロサンゼルス=Los Angeles。もとよりこれはスペイン語なので、ロス・アンヘルスと発音するのが正しいのであろう。ときに、ロサンゼルス群には実に480万人ものヒスパニック(スペイン語圏ラテン・アメリカ系民族)が住んでいると言われているとおり、どこへ行っても視界の中にヒスパニックの人々がいるし、スペイン語の地名や道路の名前は、むしろそっちの方が多いようにさえ感じる。あらゆる公共機関の表記は、当たり前のように英語とスペイン語のふた通りでなされている。それもそのはずで、1700年代にこの地に入植したヒスパニックが、聖母マリアと天使たちの街という意味の呼び名をつけたことから、それが短くなりLos Angelesという地名になったとされているようだ。
さて、Losはスペイン語の定冠詞で、英語ならTheに相当するんだが、ラテン語の常で、その後に続く名刺が男性/女性、単数/複数で定冠詞が異なる。Losは男性の複数名詞にくっつく定冠詞で、これが複数の女性だったらLasになる。ラスベガス=Las Vegasは、肥沃な土地を表すVegaから来ていて、土地は女性とされるんだそうだ。
さて、Los Angelesは複数の天使たちということになるんだが、ここで「あれ?」となった。確かに、聖画に頻繁に登場する天使たちは、可愛いち◯ち◯がくっついている男の子であることが多い。それだけを見ると、天使=男子となる。だが、ラブソングの歌詞などでは「ああ、君は僕の天使だ(You are my angel.)」「天使のように可愛い君」「天使のようなその微笑み」「天使のような寝顔」など、女性を褒める際に使うことが圧倒的多数を占める。現実の世界で、男性が男の子に対して、君は天使みたいだねなどと言おうもんなら、たちまち変態扱いされかねないのであるが、実はその表現は正しいということになってしまう。
わからないことに直面した時は、目の前にあるパソコンで簡単に調べられるから今の時代は便利なもんだ。曰く、天使には性別はないんだそうだ。1秒で答えに辿り着いてしまったが、それならなぜ定冠詞Losが使われているのだろう。また一つ、ちょびっとだけ賢くなったような気になった直後に、再び解らなくなってしまった。