2021年3月12日金曜日

異国から思いを寄せる(東日本大震災10年)

  10年前の今日、私と家族はパリに暮らしていました。早朝からテレビに流れるNHKのニュースは、信じがたい映像を何度も何度も繰り返し映し続けていて、それをただ食い入るように見ては、祖国日本がどうにかなってしまうのではないかという不安と恐怖に震えました。

 当時、長男は中学3年、次男は小学4年生でした。それが今や25歳の社会人と、19歳の大学生。おかげさまで二人ともすこぶる元気です。翻って、震災で、或いは津波でお子さんを亡くされた親御さんがどれだけいたことでしょう。運命とはいえ、ご遺族は、この10年の間にすっかり大きく成長したはずの我が子たちを見ることが叶いません。あまりに残酷です。同じ境遇にない限り到底共感できないほどの深い、激しい悲しみに違いありません。その運命が自分に降りかかっていたとしたら、その後の人生を生きていけたか、全く自信がありません。

 地下鉄サリン、阪神淡路大震災、熊本地震、アメリカの9.11も、大きな災害や事件があったのは、いつも外国に暮らしている時でした。現場にいたどころか、遠く離れた異国にいたわけです。それでも、尊い命を奪われた方々に向ける哀悼の気持ちは、日本に住んでいる方々と少しも変わりありません。事務所では半旗が掲げられました。黙祷を捧げ、被災を免れた私たちに出来ることは何なのか、それを強く思い、考え、そして懸命に一日を生きていこうとする気持ちもまた一緒です。合掌。

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