2018年5月1日火曜日

愛を込めてエジプトをディスってみる

 そりゃあどんなところでも、1年も住んで暮らせば、良い面も悪い面も見えてくるのです。それが何対何でバランスするかというと一概には言えないのですけど、今日は、海外生活でストレスを溜めない秘訣の一つとして、エジプト(及びエジプト人)のここが嫌っていうポイントを吐き出してみることにしました。
 ただし、デトックスとばかりに毒を吐くようにディスるだけでは、身勝手ですし、これを読んでいる方にとっても聞き苦しいだけの悪口になってしまいます。ですからそこは、悠久の大国エジプトに一定の敬意を払いつつ、また、ここに住まわせてもらっている一介の外国人のとしての謙虚な態度として、愛情込めてディスってみたいと思います。

【エジプト(及びエジプト人)のここが嫌】
●とんでもない慢性的な渋滞
 そりゃね、信号機の数が圧倒的に少なかったり、車線が消えていたり、道路が凸凹だらけだったり、車両を整備するためのスペアパーツがなかったり、高速道路でふつうにロバが荷車を引いていたり、交通整理の警察官はただそこに佇んでいるのが仕事だったりするからってのもあるんで、多分に同情できる面もあります。
●とんでもない交通マナー
 渋滞の最大の原因はこれ。イタリアに住んでいたときは、イタリア人の運転マナーって世界一最悪って思ってましたけど、エジプトに来てみたらイタリアなんて可愛いもんです。むしろイタリア人を見習えと思ってしまいました。でも、1年も経つと、交差点のど真ん中で人が乗り降りしてても、無理やり割り込まれても、クラクションが聞こえない瞬間がほとんどなくても、不思議とそれほど腹が立ちません。歩行者も同様で、どこでも平気で道路を横断してきますし、なんなら闘牛士みたいにスレスレで車を避ける技術を見せつけるショーマンシップ溢れる人も少なくありません。きっと、横断歩道という概念が育たない土地柄なのでしょう。
●どこもかしこも砂埃
 そりゃね、ちょっと街を外れれば周りはぜんぶ延々と砂漠ですから、道路も建物も看板もすべてが埃まみれになっても仕方がないですよ。いくら掃除したってきりがない訳で。でもね、ちょっとくらいは小奇麗にしようっていう気持ちがないのかな。ないんだろうな、小さいことは気にしない砂漠の民だから。砂と共に生きることが当たり前なんだろうな。飛行機に乗って上空から見るエジプトは、砂以外の色は見えません。
●停電、断水、ネット回線
 とにかくライフラインのインフラが全部老朽化していて、とんでもないクオリティなので、たまに雨が降ればすぐ停電、そうでなくても日ごろからしょっちゅう停電。断水もしばしば。でも、事前のお知らせなんてありませんよ。インターネット回線なんかすんごく弱いし、遅いから、つながらなくてイライラするのは日常茶飯事。夜の間中ネットがつながらないとか、コロす気かよ。でも、電気もネットもあって当然という日本人の方が、ひょっとしたら思い上がってるのかもしれません。砂漠の真ん中でここまで街づくりしてくれて有難うと、感謝しなきゃ。
●一見、人当たりは柔らかくて優しいけど、自己中で無責任でテキトーで病弱
 発想の根本がインシャラー(神のご意志のままに)なのですよ。仕事が途中だろうが平気で定時退社します。だって仕事が片付かないのは仕事が多すぎるからであって、彼らのせいじゃないんだもん。意味不明な言い訳も数多く常備してますが、いわゆる説明責任という観点からは評価すべきなんでしょう。そもそも仕事に重きを置く人生が、必ずしも豊かな人生ではないということを教えてくれています。そして、しょっちゅう体調を崩して休みます。医者に行くと医療費が高いので、薬局でアンプルを買って、その場で注射してもらうんだそうです。1本300円。そんな薬で治るわけがない。だから、彼らのせいじゃないんです。
●豚肉がない、魚が買えない
 豚は売ってません。そりゃそうでしょ。国民の90%がイスラム教徒なんですから。ないと余計に食べたくなるのが人情というものですね。でも、こちらも天邪鬼なもんで、たまに日本へ帰ってラーメン屋に行っても、チャーシュー麺は食べませんし、焼肉よりもホルモンに行ってしまいます。魚はスーパーに売ってます。けど、それを食べるのは相当な勇者か、恐れを知らないチャレンジャーだけです。エジプトでは、魚というのは港町に行った時にだけ食べる食材なのです。
●夏場はいっさいの生鮮野菜が姿を消す
 これは結構つらいです。特に青物野菜は全滅です。あるのは乾燥させたモロヘイヤとかパセリくらいか。あ、西瓜はある。しょうがないので、冷凍のグリーンピースとかインゲンとかを料理に使うのです。たまに輸入食材店にサラダ菜が超高額で並んだりするときは、運良く居合わせた人が買い占めます。青物を食べないとビタミンC不足で健康を害するというのは、先進国の人間がいかに脆弱かということを示しています。言ってみれば、エジプト人は生態系が違うということです。
●カイロ腹
 恐怖の食あたりのことです。私は暮らし始めてから3ヶ月で洗礼を浴び、半年後におかわりをもらいました。何にあたったのか、わかりません。丸1日以上、七転八倒の腹痛におそわれますが、これがガチで痛い。陣痛かってくらい痛い。正露丸も何も効きません。トイレから出られません。恐怖です。完治するまでには1週間くらいはかかります。でも、エジプト人はカイロ腹になりません。それだけでも尊敬に値します。
●ハムシーン(砂嵐)
 今年もハムシーンの季節になりました。1か月ほど断続的に発生します。ひどい日は、視界が悪いとかそういうレベルを超えてまして、直ちに健康被害が生じることを予感させる不気味によどんだ景色になります。そういうときは、一歩も家から外に出ません。ちなみに、アップル社のiOSが実にすぐれた製品であることを、ここエジプトでも思い知らされました。iphoneの天気表示を貼り付けてみました。「ほこり」って、天気の一種だったんですね。って、ホントかよ。アップルにも認識されてるハムシーンすげえ。
たぶん、そのうち第2弾もやると思いますが、今日はこの辺で勘弁しておきます。

2 件のコメント:

YASU さんのコメント...

お疲れ様です。
読んでて、よく我慢できてるな~って
思いました。
異国、異文化に触れればどうしても合わない部分がでてきてしまいます。
そこになじんでいくために、その点に触れなかったり、
目をつぶったり。
でも、今回のように思いっきり触れてぶちまけるのも必要ですね。
私も4月から国内の海外(長崎県五島市)に転勤し新しい生活を始めています。
良い面も悪い面も見えてきて、まずは極力良い面を探していますが、
悪い面も時には我慢せずぶちまけてみようかと思います。

みやっち さんのコメント...

>YASUさん
こんにちは。コメント有難うございます。
五島ですか。魚が美味しいところと聞いたことがありますが、魚だけじゃ生きていけませんもんね。
何事にも期待値を高く設定しないことを心がけるだけで、ストレスは溜まりにくいです。
期待するから裏切られるとそのぶん辛い。相手はそれが通常運転なのに。
それでも歯石みたいにちょっとずつ溜まった毒は、たまにすっきり吐き出した方が良いです。