2015年11月29日日曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その10)

 完成が間近です。
 フューエルタンクを乗せ、ケーブル類を施しています。
 この画像のように、薄暗い環境の中ではほとんど黒に近い色目に見えます。昼間の太陽光の下では草木に紛れ、闇夜では僅かな光をも吸収して潜む、オリーブドラブという色には、きっとそんな不思議な効果があるのでしょう。軍用に開発されたものには、構造にせよ塗料にせよ、必ず何らかの理屈があるような気がします。
 サイドスタンドで自立しています。それにしても重心が低く、地面からのクリアランスも僅かしかありません。悪路では下回りをガンガンぶつけたんだろうなぁ。

 やりすぎてはいけないと口酸っぱく言われている「よごし」や「錆び」表現。後からでは作業がしにくいフィッシュテールのマフラーだけやってみました。ブラックの下地にガンメタル、その上からアースカラーでうっすらと錆が浮き出した感じを、というところまでで止めておきました。これくらいなら許容範囲でしょうか。

2015年11月26日木曜日

モンスターに癒される

 先の日曜日、お隣ウンブリア州のボマルツォという小さな村(というより集落)にある「怪物公園(Parco dei Mostri)」を訪ねました。
 まあいわゆるB級観光地なんだろうとタカをくくっているうちに到着。割と立派な事務所で入場券を買ったついでにちゃんと解説書を見てみました。この公園は、ローマ近郊にあるエステ荘(villa d'Este)を建設したルネッサンスを代表する建築家ピッロ・リゴーリオの手によるものと解り、500年の歴史があることに先ずはビックリ。

 そしてこの公園を作らせた主は、16世紀初頭にこの辺り一帯を治めていた貴族、オルシーニ家のフランチェスコ王子だとか。なるほど公園から続くなだらかな丘の上には、古めかしいお城が公園を覗き込むように建っています。王子は、最愛の妻を亡くした悲しみと苦痛に喘ぐ自身を癒すため、少しでも楽しい気分になるものを城下の庭に作りたいとの一心で、この公園を発注したとのこと。随分と金のかかるロマンチストだこと。

  木々が生い茂る森の中、高低差のある園内には、こうした巨大な怪物の石像が全部で30個ほど散りばめられています。ただし、いずれも怪物という響きとは少し趣が異なり、どこか愛らしくもあるキャラクターたち。なるほど楽しい気分にさせてくれます。
 小春日和の下、子供たちがはしゃぎ回る歓声がそこここから聞こえ、園内の芝生にはお弁当を広げて寛ぐ家族連れの姿。王子の思いは、500年の歳月を経た今もなお、人々に癒しのひとときを与えてくれているのでした。

2015年11月23日月曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その9)

 第9回目にして自立しました。
 シングルクレドールの非常にシンプルなフレーム、スプリンガーフォーク、スリムなVツイン・エンジンが作り出すフォルムが、とてもカッコ良い。リア・サスは勿論リジッド。シートをスプリングで支えるんだから、それでいいでしょ、と言わんばかりです。でも、案の定、実車のフレームはしばしば折れたそうです。
 下に積んである雑誌は、今回のモデルが古すぎるため参考になる記事が見つかりませんでした。

  この時代のハーレーは、チェーン駆動だったんですね。キットのチェーンはゴム素材の一体モノ。スプロケット(回転します!)に噛むことなく、その内側を通ります。ちと残念。これがエッチングの金属チェーンに置き換われば、リアリティが5段くらいアップするのでしょう。

 リア・ブレーキは、長~いロッド2本を介しています。このあたりの構造は非常に面白い。
 組むにあたっては、様々なパーツが関連しているために、各々の辻褄を完全に把握してからでないと角度を決めて接着することができません。ちょっとでも間違えると他と干渉してしまい、後戻りできなくなるからです。面倒な工作ですが、いちばん楽しいかも。

2015年11月22日日曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その8)

 久しぶりのプラモ工作になりました。
 ハブ側に余裕がない作りであるため、悩んだ末にスポーク張り替えは断念しました。同じキットがもう一つありますので、次回にリベンジを誓いましょう。
 その代り、ちょっとでも細くなるようせっせとスポークを削り込んだのが左のもの。40本もあるので、根気が要ります。

 色を塗って、タイヤをはめてみました。思ったほど悪くないので、これでいくことにします。スポークには、うっすらとガンメタルで表情をつけています。

 いつの間にか出来ているフロントフォークにフェンダーと共に仮組みしてみると、なぜかこんなにもズレています。なんてこった。取説どおりに組んでいるというのに。
 おかげでピントもズレてしまいました。

 フェンダーの穴の位置がおかしいのです。しょうがないから穴を開け直すわけですが、スペースのないところギリギリにピンバイスを刺すのはちょっと怖いです。

 これでよし。思いがけないところに、罠がありましたね。
 さて、タイヤとフェンダーのギャップがかなり大きいのは、スプリンガーフォークの構造ならでは。ブロックパターンのタイヤとも相まって、オフロードをがんがん走れそうです。

2015年11月17日火曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その7)

 工作がさくさくと進まない原因は、これです。
 スポークの張り替えはこれまで何台も手掛けてきたというのに、何度やっても面倒くさいことに変わりはないのです。キットのホイールに手を加えることで、どうにか回避できやしないかと、手抜きの方法をあれこれ考えているからダメなんですね。
 ただ、よく見てみると、肝心のスポークは金型がずれているのでしょう、こんな状態。交差している部分も高さが同じです。

 ナイフとヤスリを手に格闘すること数時間。太さは何とか1mm未満に細くなったものの、繊細さがまったくありません。
 やっぱしょうがないから張り替えるのかなぁ。でも、ハブ側の幅がほとんどないので、よっぽど上手くやらないと失敗しそう。

  気分を変えてみようと、マフラーを眺めています。いわゆるフィッシュテールと呼ばれるタイプですね。
 これまたよく見ると、吊り下げ金具などのモールドがはっきりしないとか、目立つところにヒケがあったりしましたので、修正しました。

  サイレンサー吊り下げ部のアップ。0.3mmプラ板の細切りを、リベット留めしています。

2015年11月14日土曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その6)

 いよいよ車体の方に着手しています。取説を無視して、作りたいところから手を伸ばしてしまうのはいつものこと。なんといっても、細かな塗り分けもほとんどなく、オリーブドラブ一色なので、失敗を恐れずに手を進めることができます。
 とはいえ、バリや合いの修正という基本動作に加えて、思わぬ落とし穴があちこちに出現しますから、執拗に仮組みを繰り返してからの接着という手順は怠ることができません。
フロントのスプリンガー・フォーク。ほうほうなるほど、こういう構造だったのかと、組み立てながら関心することしきり。むき出しのスプリングも先細りの形が実車どおりで、なかなかやるなぁと。
 そして、リア・フェンダーとキャリア。ブリキを切った貼ったした造形が逆に新鮮で、とても美しく感じられます。

2015年11月11日水曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その5)

 マシンガンとそのホルスターの次は、革モノの続きということで、リアの両サイドに吊るす鞄です。
 キットの部品を貼り合わせると、こんな感じ。表面に僅かな窪みやシボ加工が認められますが、妙にカクカクしていて、質感というものが全く伝わってきそうにありません。

 やおらナイフと棒ヤスリで、うねりや皺を作っていきます。ボリュームが足りない部分にはエポパテを盛りつけました。
 上蓋を3つのベルトで袋にとめる形ですので、内容物の重さで下方向に引っ張り癖がついて弛んでいるように見せたいのです。パーツの肉厚の範囲内でという制約の中、このあたりの造形は、想像力をフル稼働。絵を描くように、或いは立体の彫刻を作るような感覚で臨みます。
 さて、この鞄には、いったい何を入れていたのでしょう。双眼鏡やトランシーバー、水筒や工具といったあたりでしょうか。それなりの重さがあったのではないかと思います。

 表面を整えて、何となく形になったので、色を付けてみました。皺が寄って出っ張っている部分には軽くウェザリングを施し、擦れた感じを表現してみました。
 自己採点70点くらいの出来ながら、キットのものと比較すれば、劇的な変化を遂げました。でも、もう一つ同じものを作らなければならないのでした。あとベルトも。

2015年11月10日火曜日

アッシジ探訪(巡礼じゃないけれど)

 大学の街ペルージャから約20km、標高1000メートルを超える小高い丘の上に、アッシジ(assisi)はあります。世界文化遺産の村です。
 
 村の西端、下界を一望する位置に、この村に生まれた聖人フランチェスコに因んで1200年代に建設されたサン・フランチェスコ聖堂が、威風堂々と村全体を見守っています。
 フランシスコ会の総本山であるこの聖堂内部の壁には、ルネッサンス初期の画家ジョットなどのフラスコ画が鮮やかに描かれています。何と言っても800年前の絵がそのまま残っていることに、あらためて驚かされます。
 
 村の中心、コムーネ広場に向かう途中の細い路地にある小さなレストランに、嗅覚が働きました。ローマを出発してから約3時間、そういえばお昼どきです。

 前菜は、黄身が濃い地鶏の卵を使ったふわふわオムレツに、ウンブリア州の特産品であるトリュフがこれでもかとトッピングされた一品。美味。これで8ユーロくらい。

 パスタは、ストランゴッツィという、この地方特有の手打ち麺。もちもちとしたうどんのような歯ごたえがあって、トリュフ、ブイヨン、オリーブオイルのさっぱりしていながらもちゃんとした味付けがしてあって、絶品でした。これが10ユーロくらい。
 地元の白ワインをグラスで頼み、食後のコーヒーを合わせても20ユーロちょいと、トリュフ満載のメニューの充実度に照らせば決してお高くはないと思います。

  村の主要な建物は、地元で切り出された薄いピンク色の石がふんだんに使われていることから、村全体が明るいトーンで統一されていて、その家並みは、どこを切り取っても絵になります。写真の心得がなくたって、被写体さえ良ければ素敵な写真がいくらでも撮れるのだと思います。

 撮影機材はキャノンEOS30D(古っ)に、シグマ17-70。

 お土産なら、こんなおしゃれなお肉屋さんで、地元産の生ハムやサラミはどうでしょうか。

2015年11月8日日曜日

ちょっとひと息(今日のVespa+ヌコ)

 絶好の天気に恵まれた日曜日、車で約2時間のアッシジにお出かけしました。聖フランチェスコゆかりの地です。
小さな、しかし大変フォトジェニックな村でした。そんな雰囲気を壊さない、型の古いVespaが絵になりすぎです。
 
  ちょっとおデブなヌコにこっそり近づくと、上目づかいでチラ見されました。昼寝の邪魔をするつもりはなかったんだよ。ゴメンて。
 アッシジの様子は、また後日。

2015年11月7日土曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その4)

 トミーガンを塗装しました。
 金属部分は、フラット・シルバーの上から薄めたガンメタルで、木の部分はアクリルのフラット・ウッド色の上から、それより少し濃い色を2色まだらにドライブラシ。初めてにしては、まずまず木に見えなくもない。

 これは、トミーガンを収めるホルスター。皮革の表現です。その前に、中央に巻かれたベルトのモールドがはっきりしませんので、削り落としてから、0.3mmのプラ板の細切りを貼り付けておきました。



 アクリルのフラット・レザーの上から、今度はそれより少し薄い色を2色まだらにドライブラシ。もうちょっとだけ、赤みを抑えた方がいいかも。どうだろ。

 実はプラモにおける私の軍事顧問(という名のミリオタの友人)から、「このハーレーは、その多くがいわゆるD-Day(ノルマンディー上陸作戦)以降に投入されたものなので、戦火の真っただ中の前線で使われた訳ではない。従って、車体や装備品はそれほど酷使されているはずはないので、必要以上のヤレや汚し表現は禁物である。」との有難い助言をいただいていたのでした。
 んなこと言われても、ヤレとか汚しが楽しいんじゃん。

2015年11月3日火曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その3)

 次の工作に進もうとパーツを見ていたら、真っ先に目に飛び込んできたのがこれ。ライフルですね。思わず「おー」と声をあげてしまいました。造形もなかなかグッド。やっぱ軍事モデルの醍醐味の一つはウェポンですよ。しかもライターほどの大きさがあるので、多少のディテールアップもできそうです。

 で、そんなの知ってるよという方も多いと思いますが、これはアメリカ製のトンプソンm1921サブマシンガン。いわゆるトミーガンって奴です。丸いドラム形の弾倉をとりつけたものなら、きっとどこかで目にしたことがあるはずです。ハーレー本体は放ったらかしにして、先ずはトミーガンをやっつけてみることにします。

 そういえば中学生くらいの頃、世の中はモデルガンブームでした。
 映画ならダーティハリーの44マグナム、漫画ならルパン三世のワルサーP38か次元の357パイソン、ドーベルマン刑事の加納が使ったブラックホーク、あるいはコルト・ガバメントかルガーか。マシンガン系ならM16、通な奴ならウジあたりか。
 おじさんは、映画タクシードライバーに影響されて、44マグナム83/8インチというエラく銃身が長いやつと、護身用(と言ってもいったい何から身を守るつもりだったんだろう)にデリンジャーを購入。お店はもちろん国際。誰もいない広っぱに行っては、友人と撃ち合ってましたっけ。あれ、捨てちゃったんだっけかな。思い出せません。

2015年11月2日月曜日

1/9 Harley Davidson WLA(その2)

 工作に着手しました。
 先ずはセオリーどおりエンジンです。パーツにはいちいちバリやダボ穴のズレなどはありますけど、それを差し引いてなお、なかなか素性の良さそうなキットです。でも、なめてかかると、こんな落とし穴もある訳です。まあ、想定内ですので、淡々とパテで埋めて処理しましょう。

 カチャカチャと組んで、ペトペトと色を塗っているうちに、エンジンがあらかた出来てしまいました。楽しいです。
 こちらはキャブレター側。シリンダーのフィンがやや浅いものの、許容範囲でしょうか。

 こちらは反対側。ほぼ素組みながら、各種ケーブルの取り出し口など、後からでは工作しにくい部分に手は加えてあります。
 もちろん、全体の仕上がりはこんなに綺麗なままにしておくつもりはありません。汚しというよりは、ドライブラシをかけるなどしてエッジにあたりをつけ、何度も分解整備してはまた組んでということを繰り返したことが伺われる、少しくたびれた感じが表現できれば良いなと考えています。