2013年6月28日金曜日

思いもよらぬパートナー

アルファ147とドナドナした今日から、オヂさんの新しいパートナーは、トヨタYaris Versoです。
 イタリアで、こういった車を相棒にするとは、思いもよりませんでした。別にファミリータイプの車がダメだということでは決してないんですけど、どこからどう見ても色気が感じられません。内装はプラスティッキーだし、エンジンも1300ccと、これまで所有したなかでも最小クラス。
 駐車場のキャパシティという絶対的な制約がある中で、一日たりとも電車・バス通勤をしたくないばっかりに、つい身近にあった選択肢に手を出したわけなのですが、なんだかなぁ。。。
 と、あまり面白くない顔で乗り始めてみると、あ~らまあ、視界がずば抜けて広いし、アップライトな運転ポジション、オートマと相まって、驚くほど運転し易い。車体も軽いので、街中では排気量の不足をほとんど感じません。
 なんだか、やっぱり嫁にもらうなら日本人、それも、顔やスタイルなんかじゃなくて、質実剛健、健康第一、丈夫で長持ち。今までは、やれBMWだアルファだと華やかでチャラチャラした相手ばかり追いかけてきたけれど、みんな結局、離れていってしまった。ふと我に返ってみれば、毎日を共にするべきパートナーは、気が付かなかっただけで実は一番近いところにいた、そんなベタな物語みたいな気持ちに少しだけなりました。
 とかなんとか言ってはみたものの、心の中では2台目購入を密かに画策してみたくなっちゃってもいるんです。

2013年6月24日月曜日

アイドリング・ストップ考

 欧州自動車市場では、ディーゼル車と共に、アイドリング・ストップ機構を標準装備する車が急速に増えています。
 思えば若かりし頃、メカニックを目指す友人曰く、「調子の悪そうな郵便カブを見たことがあるかい? ないだろ。あれは、一日中エンジンをかけっぱなしにしてるからだ。エンジンは始動時に相当の負荷を伴うので、耐久性を考えればなるべくかけっぱなしにしておく方がエンジンのためには良いんだ。始動時には沢山の燃料を必要とするしな。」 
 オヂさん、目から鱗がポロポロと落ちて、以来、バイク乗りの一人として郵便カブとそれに乗る配達員さんたちに対する尊敬にも似た感情を抱いて育ってきました。
 そんなことから、アイドリング・ストップ機構には、最初から眉ツバではないかとの印象というか、疑いの目を向けていたのですけど、実際ここまで普及してきている現実と、遠からず選択の余地なくすべての車に標準装備されてしまう可能性を考えるとき、そこまで行ってしまったら嫌だなぁと、ひとり懸念しているのです。
 いろんな解説を見るにつけ、そりゃほんの少しは燃費がよくなるのでしょう。排出Co2の削減、ひいては地球温暖化防止にも貢献するのかもしれません。
 でも、何ていうか、ヒューマン・インターフェースというのか、操縦する人の感性と全然関係のないところでエンジンが勝手に止まってしまうところがまず許せない。再スタートするときも、本来なら各所を点検し、気を引き締めて、何やら儀式に臨むみたいな気持ちでイグニッションをひねるべきところを、まるで何事もなかったみたいな形で、しかも信号に急き立てられるようにスタートしてしまう。一連の動作の間、まったくもってドライバーの気持ちは置き去りです。
 バッテリーの維持費や交換部品の耐久性といった目先のデメリットは、きっと技術の進化と共に解消されていくに違いありません。そして、これから免許を取る若者たちにとっては当たり前となり、やがては誰もが疑問を持たない機能の一つになっていくのでしょう。でも、オヂさん世代にとっては、まだまだ、まるで違和感だらけなのです。

2013年6月20日木曜日

カスバ(実地編)

  アルジェリア出張からローマに戻ってきました。
 地中海を超えて北上したはずなのに、ローマは日中の気温38℃。アルジェより暑いのです。
 さて、唄にもなった彼の地のカスバは、小高い丘の斜面に小さな家屋がびっしりと密集した地区を指します。すごく良く言えば旧市街、現実を最も忠実に表現する言葉だと、貧民街です。
 見たことはありませんが、戦後のドヤ街というのはこんな感じだったのでしょうか。現地の人でも、いったいこの地区に何人が住んでいるのか、何軒の店があるのか、誰も正確には解りません。地面にはゴミが容赦なく散乱し、細い路地には車など入り込む余地はありません。

上の2枚は、いずれもカスバの一番下の入り口にあたる表通りから見たところです。この奥が登り斜面になっていて、どんどん建物が小さく、密集していきます。
 残念ながら、外国人がカスバに入ることは事実上できません。丘の一番上にあるカスバ警察署に警察官のエスコート(ボディガード)を依頼しない限り、単独でカスバに入っていくことは推奨されていません。
 実はこの写真も、防弾仕様のランクルの車内から撮影しています。少し青っぽく映っているのはそのせいで、窓ガラスはAK47ライフルなら3連射くらいまでは大丈夫とのこと。そんな分厚い遮断物のおかげで、車内から見る外の景色は、映画を観ているようです。

それにしてもアルジェという街、海を眼下に臨む目抜き通り周辺には、旧宗主国フランスの影響を色濃く反映した立派な建物がずらりと並びます。
 装飾豊かなファサード、海の色を思わせるブルーに統一された窓枠、小さなテラスを囲う凝ったデザインの手すりなど、往年はきっと息をのむくらい美しい街並みだったのでしょう。
 今やその栄華はすっかり色褪せ、壊れ、瓦礫と化しつつあります。産油国という理由だけで、電気もガソリンも超低価格、商売人には補助金も出る。底辺の所得者層も膨大な失業者も、食いつなぐことだけはできてしまう、でも、だから働かない。そんな負のスパイラルは、時間をかけて街を崩壊させてしまう。カスバの現実です。

2013年6月16日日曜日

カスバ

 月曜日の朝一番から、北アフリカのA国に出張に行ってきます。
 オヂさん以上の年代なら、「カスバの女」という唄で初めてこの地のことを知り、地の果てとはどんな国なんだろうと思いを馳せた方も多いはず。
 でも、今年1月に発生したアルカイダ系武装勢力による人質拘束事案では、多くの日本人の尊い命が奪われました。今回の出張は、物騒なところに近寄るミッションはありませんが、淡い旅情などありません。久しぶりのアフリカ、少し緊張しています。

2013年6月12日水曜日

天空への小旅行(猫編)

  天空の小さな村チヴィタに今も残る住人達と共に暮らす猫たちです。
 どの猫も、日がなのんびりと過ごしているようで、観光客を気にも留めない姿で路上に寝そべっております。観光客もまた心得たもので、積極的にかまったりしません。
 この猫たち、まるでこの村の番人のようでもあり、この村に生まれた運命を生まれながらに受け入れた仙人のようでもあります。


2013年6月8日土曜日

天空への小旅行

  良く晴れて、ようやく夏のローマらしくなってきましたので、ローマからアウトストラーダを北へ100km弱、ウンブリア地方の「天空都市」オルヴィエートに行ってきました。起伏の激しさを覆い隠すような緑の大地が、そこだけぽっかりと盛り上がった小高い丘の上に、城壁で囲んだ街がいくつもあります。
 そのなかでも、オルヴィエートは、日本にはあまり知られていないものの、欧州屈指の美しい街との呼び声が高いところです。ローマから1時間ちょっとのドライブも、日帰りするには丁度良い距離。
 街中は、ドゥオモ(大聖堂)を中心に、細い路地が入り組んでおり、どの道にもオシャレなお店が並んでいます。美しいと言われるだけあって、どこを切り取っても絵になる、いわゆるフォトジェニックなところでした。

  ウンブリア地方の特産と言えば、太さが少しいびつな手打ち麺。せっかくなので、鳩のシンボルマークが目印のレストランで、手打ち麺を注文。テーブルの上で、店員さんがこの地方のもう一つの特産である黒トリュフを削って、上からたっぷりとかけてくれました。
 グルメには外せないトスカーナ地方に近いだけあって、まあなんとも贅沢な香りに包まれた、幸せなランチとなりました。勿論、この街でとれた白ワイン、オルヴィエート・クラシコも買って帰りましたよ。

午後から夕方にかけて、オルヴィエートからオリーブ畑を左右に見ながら田舎道をさらに30分程度走ると、「天空の城ラピュタ」のモチーフになったとも言われるチヴィタ・ディ・バニョレージオに足を延ばしました。
 青い空に突き出すようにそびえる丘の上を目指し、ふもとの駐車場に車を停め、約300mの遊歩道を歩いて登ります。てっぺんの村には、人口減少に伴い「死にゆく街」と呼ばれるながらも、小さな教会を囲むように今もなお15世帯の人々が、たくさんの猫たちと寄り添って暮らしているとか。
 世界遺産でもなく、知名度も低いいずれの街も、なかなかのもんでしたよ。

2013年6月3日月曜日

デザインのチカラ

近所で美味しいともっぱらの評判(らしい)の、テイクアウェイ専門のピザ屋を試してみました。味うんぬん以前に、持ち帰り用の箱のデザイン画、いわゆる下手ウマというのでしょうか、たいへんに秀逸で、オシャレです。vespaにまたがった若いカップルの出で立ちは、古いようで実は今でもまんまこんな感じですので、新しいのかもしれない。こんなところにもイタリアのデザインの「力」を垣間見た気がします。
 で、お味はというと、間違いありませんでした。いまどきコンビニでちょこっと買い物するより安くて、美味しい。大阪人はお好み焼きをおかずにご飯を食べるそうですけど、イタリア人はピザが立派な晩御飯になるのでしょう。