2013年2月28日木曜日

美味しい和食?洋食?ビストロ

職場の周囲の方から、ぼちぼち送別会のお誘いを受け始めています。
「どこかご希望のお店ありますか?」必ず尋ねられる質問です。そんなときは決まって、ジャンルも格式も問いませんから、安くて美味しいビストロが希望ですと答えるようにしています。ご馳走していただく側からお店を指定したのでは、知ってるお店が増えませんから。

 さて、parisオペラ界隈には、日本人街があります。ラーメン屋、定食屋、日本食材屋などが立ち並ぶサンタンヌ通りはつとに有名で、フランス人とおぼしき外国人がラーメン屋に行列を作っている姿は、どこか不思議で、でもちょっと微笑ましい印象を受けます。
 夕べは、気の置けない方からお誘いをいただいたので、例外的に、サンタンヌ通りからちょっと路地を入ったところにあるビストロ「Chez Miki」で是非と、おねだりしました。

 オーナーシェフの三木綾子さんは、現在は市内に展開している別のお店(paris7区「柚子」)をお手伝いしていますが、無料の日本人コミュニティ紙でグルメリポートを担当する素敵な料理家。黒板にびっしり小さな字で書かれた綾子さん渾身のお品書きは、日本にある下町の洋食屋さんを思い出させてくれるものばかり。
 このお店をカテゴライズするのは難しいです。和食と言えば和食だし、洋食だと言われればそうでもあり、レストランかというとビストロでもあり、居酒屋かというとそんな感じでもあり。

 特にお勧めは、いつも欠かさずいただくネバスペ(オクラや何やらネバネバしたものを混ぜたものを海苔でくるんで食べます)、ほっこり癒しのカニクリームコロッケ、ねっとり濃厚なウニ納豆パスタ、ソテーしたフォアグラをなんとご飯に乗せてしまったフォアグラ寿司など。どれもフランスの食材を上手に使った、安価かつ絶品なお皿たちを、3人でつつき合いました。
 料理のお供には、センスの良いワインリストからいちばん安いボルドーの赤(サンテミリオン)を。よく合うんです、これが。思わずたくさん飲んでしまいましたとさ。

Chez Miki
5 rue de Louvois 75002 Paris
Tel : 01 42 96 04 88

2013年2月25日月曜日

ビストロの楽しみ

 近頃は、ビストロにハマっています。
 星のあるなしにかかわらず、いわゆる「レストラン」と比べてしまうと、そりゃあ店の構え、内装も調度品のいずれもたいしたことはありませんし、客は普段着の地元民ばかりです。でも、こと料理の味に関して言えば、決して負けちゃいないぞ。そんな隠れたビストロの名店が、parisにはたくさんあります。
 今日も、仕事関係の方と、paris1区はルーブル美術館とパリ市役所の中間くらいのところにあるなんてことないビストロで、舌鼓を打ってきました。
 前菜、メイン、デザートをそれぞれ7~8種類くらいの中から選べる夜のメニューが35ユーロと、超リーズナブル。すかさずイカ墨のリゾット、子牛の柔らか煮と洋ナシのタルトをチョイス。お値打ちのボルドーをボトルで頼んだところで、伝票はたかがしれてます。はれて大満足。お腹もいっぱい。
 これだからビストロはやめられない。
(実はこういうお店でこそ、バシバシ写真を撮ることに「粋」を感じない派なので、今日は写真はありません。)

2013年2月21日木曜日

バイクの性別


 去る12日、フランス下院は、オランド大統領の選挙公約であった同性婚(同性カップルが結婚して養子をもつ権利)を認める法案を329対229の賛成多数で可決しました。同性婚の是非は国論を二分し、賛成派は「時代遅れの差別を終わらせるチャンス」とし、反対派は「社会基盤を揺るがし、子供の人権を無視している」などとして、両者ともに大規模なデモを展開。今後は、上院も与党が過半数を占めていることから法案は成立する公算が高いとされているものの、両性の両親を基本として作られた家族手帳など具体の制度改正に向けた法制化は難航が予想されています。

 さて、こんなニュースを読みながら、バイクの運転や模型作りから遠ざかっていることに思いを馳せるとき、バイクという乗り物を「性別」という観点から考えてみようと思い立ちました。あらかじめお断りしておきますと、いずれも高尚な考察などではなく、権威も信憑性もまったくない下世話な話ですので、そのへんはあしからず。

 言語から考えてみます。フランス語には男性名詞、女性名詞があることは広く知られています。ただ、何が男性で何が女性かという区別なり基準は、誰に訊ねても理屈で決まっているわけではないと言います。子どもの頃から生活の中で自然と使い分けを覚えるのだという説明しか帰ってきません。そのフランス語で、バイク=motoは女性名詞です。ついでに、四輪車=voitureも女性名詞。ただし、分解してパーツを個別に言う場合、例えばシリンダーは男性となります。
 因みに、イタリア語に目をやりますと、Aprilia、MV Agusta、Laveldaなどは語尾が'a'で終わっていることから、セニョリータやマリアの連想で女性のイメージがあります。一方で、Ducati、Benelliなど語尾が'i'で終わるものは、トッティなどの名前からの連想では男性のイメージです。ホンダ、ヤマハが'a'、カワサキ、スズキが'i'というのも面白いです。

 次に、時代のトレンドから考えてみます。日本のおやじライダーたちは、相当以前からバイクを「馬」に例えてきました。馬力からの連想なのかもしれませんが、「じゃじゃ馬」「愛車を駆る」などと表現します。しかもオヂさん世代では、その馬の性別は女性だというイメージを強く持っています。
 例えば7~80年代のカワサキRSやスズキGS、前出のアグスタ750ssなどに象徴されるふっくらと豊かで官能的な流線型のタンク、きゅっとお尻の上がった後ろ姿、そしてしなやかな乗り味など、名車と呼ばれた多くの車種からは女性が連想されます。アメリカ人にとってのチョッパーも、タンクにブロンド美女を好んで描くなど、女性的なとらえ方をしているのではないかと思います。ただし、昔のバイクはぜんぶ女性かというと例外も勿論あって、例えば角タンクのヤマハRDやトライアンフ・スクランブラーなどは、無骨な相棒であり間違いなく男性キャラでしょう。

 ところが、近頃のバイクときたら、腰高で戦闘的なフォルム、眼光鋭く睨みつける異形ヘッドライト、アスリートの引き締まった筋肉を思わせる外装など、非常にシャープで、限りなく男性的なデザインが圧倒的に多数を占めているような気がします。人間の男性達は、時代の変化と共に、同性婚にみられるように、バイクにも同性を求めているのでしょうか。それともボーイッシュな女性に惹かれているということなのか。

 構造部品にもやはり性別があると考えました。幅広の太いタイヤは女性、あんこが詰まった丸いシートも女性。一方、強化された太いスイングアームや倒立フロントフォークは男性、排気管は男性の象徴を連想させます。スポークホイールが女性的なら、キャストホイールは男性的。車体をすっぽりと覆うフルカウルや一体のタンクシートが女性的であるのに対し、ネイキッドは男性的といった具合でしょうか。

 と、ここまでは男子目線で一方的な意見を披露しましたが、果たして女性ライダーにとって、バイクは男女どちらなのでしょう。女性にも人気のある125~250ccあたりのエントリー・クラスには、穏やかで優しさすら感じるデザインのバイクが多いような気がしますが、ああいうモデルはさながら最近流行の「おネエ系」男子なんだろうか。それとも女性同士が仲良くする女子会的な受入れ方をされているのか。そもそも女子の目線では、愛車であるバイクにどちらの性を求めているのでしょう。解りません。

 翻って、このように性別に拘った考察を行うこと自体、オヂさんは既に「時代遅れ」なのかもしれません。同性婚が認められる世の中が「成熟した社会」の証しであるとすれば、成熟したライダーにとって、バイクの性別なんか所詮どっちでも構わない、議論にすらならないということなのかもしれません。。。(とつぶやきつつ、今夜も男は黙って酒を飲むみたいな。)

2013年2月20日水曜日

遣り残していたこと

4年間暮らしたparisには、まだまだ遣り残していることがたくさんある気がしてきて、少しだけ焦り始めています。
 そんな中の一番大きなものがオペラ座での観劇。parisにはオペラ座と呼ばれる国立劇場が厳密には2つあって、もうひとつはバスチーユにあるのですけど、やはり本命はオペラ通りのpalais garnier劇場です。パレスという呼称に相応しい絢爛豪華な建物、サロン・ミュージカルと呼ばれるメインの劇場の天井には、どか~んとシャガールの絵。
 さっそくウェブサイトからチケットの予約をと。。。オペラやバレエは4月くらいまで既に連日満席、考えが甘かった。仕方なくベートーベン/ブルックナーのコンサートで妥協しました。
 予約から数日後、自宅にちゃんとチケットが郵送されてきて、ひと安心。これで一つ、遣り残していたことを消化できます。

2013年2月16日土曜日

贔屓目なのかな


 お馴染みのYahoo Franceから興味深い記事を見つけました。
 Yahoo Franceが選ぶ1980年代の市販車ベスト10だというのが、以下の車たち。それぞれが車の歴史にエポックメイキングな功績を果たしたとして、殿堂入りを認定しています。

1. Ferrari F40(1987)
2. Audi Quattro(1980)
3. Peugeot 205GTI(1983)
4. BMW Z1(1988)
5. Fiat Panda(1980)
6. Renault Espace(1984)
7. Lancia Delta HF Integrale(1980)
8. Renault Fuego(1980)
9. Renault 25(1980)
10. Mazda MX-5(1989)

 ま、そりゃそうだろうなと頷ける車も少なくありません。けど、6位のエスパスと9位のRenault 25は、どう贔屓目に見てもこの順位で殿堂入りするような車ではないよなぁというのが率直な感想。理由はそれぞれあって、たとえばルノー25は大統領専用車になったからというのが選定の理由。だって半国営企業の車ですからね。
 日本車では、かろうじてロードスターが10位にランクイン。この車の果たした功績や今でも世界中にオーナーズクラブがあることからしても、輸出された日本の車の中でトップだとしてもおかしくないですね。
 価値観はともかく、いろんなベスト10を自分なりに考えてみるのも面白いかもしれません。

2013年2月12日火曜日

コンクラーベ


 このニュース、既に世の中で知らない人のほうが少ないでしょう。
 ローマ法王ベネディクト16世が、85歳という高齢を理由に今月末で退位する意向を表明しました。法王の任期は終身とされていて、存命中に退位するのは実に600年振りだとか。後継にはカトリック教会史上初めて、欧州出身でない法王が誕生する可能性があり、中南米出身者も候補に挙がっています。いずれにせよ、米大統領の交代と肩を並べるくらい、いえ、ある意味それ以上に世界に対して影響力を有する人の交代劇が、3月中にも行われようとしています。

 新法王を選出する手続きであるコンクラーベも、先代のヨハネ・パウロ没後に行われた際は耳新しい単語でしたが、映画化された小説「天使と悪魔」のヒットの記憶もまだ鮮明なように、今や有名になってしまった感じがします。

 オヂさんも、バチカンへは何度か訪れました。
 ピエロのような制服を着たスイス衛兵隊に警備されるサン・ピエトロ大聖堂の荘厳さに、コンクラーベの行われている間、封蝋でかしめられた鎖で固く閉ざされるシスティーナ礼拝堂の壁一面のフラスコ画に、圧倒されました。ああ、あの街に再び訪れてみたい。。。こんな旅情を抱きながら、法王関連のニュースを見るのも一考かと。

2013年2月10日日曜日

parisの中華街

  Paris市内には2か所の中国人街があります。そのうち、より規模の大きな中国人街が、パリ13区のプラス・ドゥ・イタリー付近の一郭。
 たまたま訪れた日曜日、辺りは中国本土と同様に、春節(中国の正月)を祝うムード一色でした。街頭は赤と黄色の上り旗で飾り付けられ、あちこちで獅子舞ならぬ龍の舞が、そして、やかましいほどの爆竹の音。

でもお目当ては春節の賑わいではなくて、実はこれ。
 さっぱりしてるのに癖になるスープの中には、米粉から練った白い麺、魚のつみれや牛肉などが入った「フォー」です。別皿に添えられたモヤシ、ライム、鷹の爪などをお好みでトッピングして食します。昨晩ワインを飲みすぎた胃腸にもたいへん優しい極上の一品。ついでにレストラン内を周回しているワゴンから、シウマイやエビ餃子などの点心を数皿と、クンシン菜の炒め物を注文。締めのジャスミンティまで飲んでも20ユーロでおつりが来ました。大満足。

2013年2月5日火曜日

ああプラモ作りがしたい

家のパソコンが立て続けに壊れた年末からこれまでの間、プラモ製作から遠ざかっています。実は年末年始に一時帰国した際には、ヤスリ、筆などのちょこっとしたツールと、モンキー製作を想定した参考資料としてミニモト専門のカスタム誌などを購入し、いつでもとりかかれる状態にあるのです。
 ただし、以前からぼんやりとお伝えしているとおり、遠からず住み慣れたparisを後にし、転勤を控えている身としては、向こう数か月もの間、作りかけのプラモデルをテーブルの上に出しっ放しにはしておけませんし、何より荷物のパッキングに本格的に着手しなければならないのです。
 他の素晴らしいモデラーさんたちのブログが日々着々と更新されているのを見るにつけ、欲求不満を通り越して、禁断症状が現れそうです。

2013年2月2日土曜日

映画鑑賞

アパートから歩いて3分のご近所、住宅街の一角に小さな映画館があります。
 今日は、「LINCOLN」の封切り。夜8時15分開演でしたが、小さな映画館の席は、ほぼすべて埋まりました。近頃のフランス人は吹き替えでない英語のオリジナル・バージョンを好む傾向があるようです。なるほど客層は中年以上の少しおめかしした人ばかり。東洋人らしき人は、オヂさんただ独り。
 ドキュメンタリーふうのスピルバーグ作品といえば「シンドラーズ・リスト」をすぐに思い出しますが、LINCOLNもなかなかに良作でした。なんといっても、主演俳優の演技が素晴らしい。凶弾に倒れた故人の人柄は今や知る術もありませんが、こんな人にこそ国の舵取りを任せたいと思わせてくれます。
 映画といえば、オヂさんの大好きな俳優ジャン・レノもご近所さんだとか。道端ですれ違わないかなぁと思い続けて約4年、出会った時の台詞まで考えているというのに、まだ一度も姿を見せてくれません。